白い竜と黒い竜“その4”
(目に見えない確かなもの…。)
今日はあいにくの雨だ…”ザァー”
早朝、マツタニ家の二階にある自分の部屋の窓から顔を突き出して、白いウインドラゴンのシロンはため息を吐いた。
「はぁ〜、何で雨なんだよ…。せっかく散歩しようと思って早起きしたのによぉ…」
シロンは早起きして散歩をしようと思っていたのだが、気まぐれな天気のせいでそれは打ち砕かれたのであった。
「どうすっかな、このまま二度寝るわけにもいかねぇし…。」
その時、シロンの後方にあるベッドで寝ていたランシーンが目を覚ました。
「シロン…?こんな朝早くに起きて、何をするつもりですか?」
「うお!?びっくりするじゃねぇかよ…。」
ランシーンの発言にシロンはかなり驚いたようだ、声が裏返っている。
「いやぁ、早く起きて散歩でもしようかと思ったんだけど…あいにくの雨でよぉ…」
シロンは頬をポリポリと掻きながらそう言った。
「そうでしたか…昨日の天気予報では今日、晴れでしたからねぇ…」
「…もう、ぜってぇー天気予報は当てにしねぇ!」
そう言って、シロンはがっかりとした表情で雨が降っている外を見つめる。
「シロ…ン…?」
「んぁ?何だ、ランシーン?」
シロンがベッドに腰を掛けているランシーンを見つめた。
「あなたは…シロンは私の事をどのように思っていますか?」
「はぁ〜?」
ポカンと口を開けて、シロンが返事をする。
「いや、ふと思ったのですよ…私はシロンにとってどのような存在なのかと…」
ランシーンの表情は何故か真剣だ。
「それは…そりゃ、俺にとってかけがえの無い大切な存在だ…絶対に失いたくない存在…。」
「シロン…」
ランシーンはそう呟くとシロンを見た…シロンと目が合う。
「何だよ…急に、どうかしたのか…?」
「私は…私は不安になったのですよ…以前にも言ったように私はシロンや他のレジェンズ、サーガ達に酷い事をしてきた。
だから、いつかシロンから突き放されてしまうのではないかと…。」
最近、ランシーンが妙に静かだった理由がやっとシロンには分かった。
「ランシーン…もう一度言うけどな、俺はお前が大好きだ。突き放したりなんかぜってーしねぇ。」
どうしたってんだよランシーン、お前らしくもねぇぜ…。
ウインドラゴンのお前が…。
「ごめんなさい、シロン。変な話をしてしまって…」
「謝る事はねぇぜ?でも何でそんな事を思ったんだ、ランシーン?」
ランシーンはベッドから立ち上がり俯きながら答えた。
「夢で見たんですよ、あなたが…シロンが私を突き放して去っていく夢を…それもほぼ毎晩のように…」
しばらくの沈黙が続き、シロンが口を開いた。
「そうだったのか…でも夢だろ?夢は夢以外の何者でもねぇよ。」
シロンはランシーンに近づき、優しく抱きしめ、ランシーンの背中を撫でる。
「心配ないって…心配ないから…ずっと傍に居るからな…」
「シロン…シロン…うぅっ…」
ランシーンが泣きはじめた。
「ランシーン…」
「私は…ただ怖かったんです…シロンを失う事が…」
私はシロンを失いたくない…シロンが居なければ生きてゆけない…
「もう怖い事なんて何も無い…だからもう泣くな…。」
シロンがランシーンをさらに強く抱きしめた。するとランシーンも強く抱き返してきた。
「ありがとう…シロン…」
”ザァー…”
部屋には雨の降る音しか聞こえない。
しばらくしてシロンが抱きしめているランシーンに言った。
「そうだ、コーヒーを入れてやるよ…」
「え…?」
「こんな時は温かい物でも飲んで、落ち着くのが一番だってヨウコさんが言ってたしな。」
シロンはランシーンの肩を”ポンポン”と叩き、一階へ降りる事を促した。
「そうですね…そうしましょう…」
「んじゃ行くか…。」
そして二竜は一階のキッチンへたどり着き、シロンがコーヒーを入れ始めた。
「それにしても、ランシーン。ひでぇー顔してるぞ?」
「はっ!」
慌ててランシーンが洗面台へと向かい、鏡を見る。
「っ…?」
ランシーンの顔は涙でぐしょぐしょだった。
「ぷっ…ははははは…」
シロンが笑う。
「は、恥ずかしい…」
ランシーンが赤面する。
「おーし、出来た!ランシーン、出来たぞ?」
ランシーンが顔を洗い終わり、こちらへやって来た。そして、テーブルの手前にあるイスに腰を掛けた。
「不味いかもしれねぇが…」
そう呟き、シロンがコーヒーの入ったカップをランシーンに手渡す。
ランシーンがコーヒーを口に運んだ。
「…美味しいです、シロン。」
ランシーンが微笑んで、カップをテーブルに置いた。
「そ、そうか…?」
「えぇ…今まで飲んだどのコーヒーよりも…」
シロンが恥ずかしそうに俯く。
「フフ…それはそうとシロン、この後は何かするのですか?」
「えっと…何にもする事がねぇーな」
シロンが腕組みをしながらそう答えた。
「シロン…私達の部屋へ行きませんか?」
「別に構わねぇけど、何をすんだ?」
ランシーンは無言だ。
「……」
シロンは察したのか、優しく微笑み二階へと続く階段を上がり始めた。
その後をランシーンが付いてゆく。
ガチャッ…先に二階へたどり着いたシロンが自分達の部屋のドアを開け、中へ入った。
ランシーンも続いて部屋に入り、ドアに鍵を掛ける。
「すみません、シロン…このような形で誘う事になって…」
ランシーンは申し訳ないといった感じで頭を垂れる。
「気にする事は…ねぇよ、逆に誘ってくれて嬉しいぜ…?」
シロンは喋り終えると飛行帽を脱いだ…いつもは飛行帽に隠れている黄金の髪の毛が露になる。
(暗いのであまり見えないが…)そして次にグローブ、装飾品と言った順に身に付けている物を外した。
「いつ見てもその身体、美しいです…」
「照れるじゃねぇかよ…」
シロンは微笑んだ。
俺はこいつと一緒に居る時は正直で居られる…そのままの自分…そう、あるべき自分で…。
ランシーンも着ている衣類を脱ぎ始める、脱ぎ終わるのに一分と掛からなかった。
「お前の身体も綺麗だ…」
ランシーンは返事をせず、シロンにキスをした。
「ラ…ンシーン」
「シロン…」
二竜は立ったまま、貪るようにして互いの舌を絡めた…。
「ん…ラン…シーン…ちょっと待ってくれ…」
「んく…何故…です…?」
「シュウやヨウコさん、サスケさんに迷惑は掛けられないからな…」
そう言って、シロンは小声で”シフトエレメント”と唱えた。
「これで周りに音は聞こえねぇ…」
ランシーンが微笑んで、キスを再開した。
「ラン…うぅん…」
ランシーンのディープキスに、シロンは言葉が出ない。
しばらく二竜は互いの口を貪り合った。
「シ…ロン…」
ランシーンがそう呟き、口を離した…二竜の口の間に銀色の糸が垂れる…。
ハァ…ハァ…二竜の荒い息がシフトエレメント内に響き渡る。
私は…シロンに必要とされている…愛されている…
「シロン…!」
ランシーンが真っ白な、シロンの胸へ顔を擦り付けた。
「っ…!?」
もう、絶対に離さねぇ…二度と…何が起ころうが関係ねぇ…俺はこいつを愛している…
シロンの手がランシーンの股間を撫で上げる。
「…シロン…んっ…」
シロンがランシーンの表情を楽しむかのように手で優しく、ゆっくりと摩る…。
「これ、気持ち良いか…?」
「はい…とても…」
ランシーンの身体が震えている。
次の瞬間、シロンの指がランシーンの股間にあるスリットに侵入した。
「んん…!!」
ランシーンの身体が”ビクッ”と跳ねる。
「良い反応するじゃねぇか…」
シロンはスリットに侵入させた指を、激しく動かした…。
グチュッ…グシュ…
十分に濡れたランシーンのスリットからは、淫らな音が響き渡る。
「シ…んぅ…ロン…」
シロンの胸に押し付けているランシーンの顔は真っ赤で、半開きの口からは唾液が滴っている。
「ん…くぅ…」
ランシーンが唸り、シロンの肩をギュッと掴んだ。すると、スリットから雄の証が露出した。
「やっと出てきたな…ランシーン…」
シロンはランシーンの股間から手を引き、言い放った。
「あなたも…既に出ているじゃ…ありませんか…」
シロンのモノは既に露出しており、はち切れんばかりに勃起している。
「フッ…」
シロンは鼻で笑うと抱擁を解き、ランシーンをベッドに仰向けで寝かせた。
「シロン…あなたの好きなように…して下さい…」
「いや、ランシーンにも…気持ち良くなって貰う…」
俺だけが満足するなんて…そんなの無しだ…
シロンがベッドに上がり、ランシーンの上に誇った。
「シロン…?」
ランシーンは何をするのだと言った表情でシロンを見る。
「安心しろ…」
一言だけそう呟き、シロンがランシーンのモノを掴んだ。
そして自らの秘所にあてがい、ゆっくりと腰を下ろした…。
「う…んん…シ…ロン」
ランシーンが絶え絶えに言った。
「ど…どうだ…初めての…俺の中は…」
ランシーンのモノを全て受け入れたシロンが荒い息をしながら、ランシーンに聞く。
「とても…とても良いですよ、シロン…」
温かい…シロンの中…気持ちが良い…
このように満ち足りた感覚は久しぶり…いや、初めて…?
しばらくしてシロンが口を開いた。
「良かった…ぜ、ランシーンに…そう言ってもらえて。もう…動くぞ…?」
ランシーンにシロンはそう告げ、腰を上下に動かし始めた。
シロンはランシーンのわき腹をしっかりと掴み、ランシーンはそれに応えるようにしてシロンの腕を強く握っている。
「んっ…はぁ!はぁ!…」
俺の中でランシーンが…
ランシーンの顔が下半身から与えられる快楽によって歪む。
「シっ…シロ…ン!シロン!シロン!」
ランシーンはシロンの名前を必死に呼ぶ。
「ここに!俺はここに居る!ランシーン!」
シロンもランシーンの存在を確かめるように叫ぶ。
シフトエレメント内には身体と身体がぶつかり合う音しかしない。
「シロ…ン…もう…我慢できません…」
「そうか…なら…なら出せ…!俺の中に出せ!」
その言葉がランシーンに追い討ちを掛け、ランシーンはシロンの腕を強く握り締めた。
「っう!」
シロンがランシーンに腕を強く握られた事により、精を放った…同時にランシーンもシロンの中で果てた…。
「くぅっ…!」
ランシーンの身体がガクガクと震えている。
「う…ランシーンが俺の中に来ている…」
シロンが放った精が、ランシーンの顔や胸に掛かる。
「気持ち…良かった…ですよ…シロン…」
ランシーンが満足しきった顔でシロンを見る。
「ふっ…おっと、いけねぇ…」
「何がですか…?」
ランシーンがシロンを見てキョトンとする。
私が何かしたのだろうか…?
ランシーンの頭の中でさまざまな考えが浮かぶ。
ふと、シロンが恥ずかしそうに、そして申し訳無さそうに言った。
「お前の…ランシーンの身体、汚しちまった…」
「え…?」
ランシーンが自分の身体を見回す。
ランシーンの身体はシロンの精液でべっとりと汚れていた。
「フフフ…謝る必要はありませんよ…?むしろ嬉しいです…」
ランシーンがそう言って、自分の身体に付いたシロンの精液を手に取り、舐める。
「おい…ラン…」
…ったく、前に俺に向かって”堂々と舐めるのは止めて下さい”とか言ったくせに、お前こそ堂々と竜(ヒト)の精液を舐めてるじゃねーかよ…。
まぁ…いっか…。
シロンが微笑んだ。
「どうしたのですかシロン…?」
「何でも…ねぇよ…?」
次の瞬間、シロンがランシーンに抱きついた…。
「シロン…」
こんな状態で抱きついて…身体が汚れても知りませんよ…?
ランシーンがフッと笑い微笑んだ。
「もう…心配ないからな…離さないからな…」
シロンがランシーンの耳元で呟いた。
「ありがとう、シロン…」
しばらくの間、二竜はベッドの上で抱き合い、互いの名前を呼び合った。
「シロン…シロン…」
「ラン…シーン…」
しばらくしてシロンがシフトエレメントを解除した。
「さてと、片付けでもするか…。ランシーン?」
「そうしましょうか…シロン。」
二竜はその後、部屋の後片付けをしてシャワーを浴び、自分達の部屋に戻った。
「天気予報は当てになりませんねぇ…」
外を見ながら、ランシーンがそう呟いた。
今日はあいにくの雨だった…でも、大切なものを確認することが出来た…
目に見えないもの…でも存在は確かなものを…。
「妙に真剣な顔をしてどうしたんだよ、ランシーン?ヤリ足りなかったか?」
ベッドで寝返りを打ったシロンが冗談混じりに言う。
「っ!?そ、そんな事はありませんよ…シロン…」
一瞬焦ったが、ランシーンは一言だけそう言い、ベッドに寝ていたシロンに後ろから抱きついた…。
「ん…?」
「どうせですから…もう一度寝ましょうか…」
ランシーンがシロンの耳元で呟いた。
「あぁ…ランシーン…」
部屋には雨の降る音しか聞こえない…
「ラン…シーン…」
明日はぜってぇー晴れてくれよな…明日も早起きして、ランシーンと俺とでセントラルパークまで散歩とシャレ込もうじゃないか…。
その後二竜は、深い眠りに付いた…。 (End)