シロラン小ネタSS集 起承転結



扇風機占い


「ふぅ・・・」


ダークウィズカンパニーの換気口がある一室で
一息入れるランシーン

片手にはいつもの携帯小型扇風機


「シロン・・・貴方が好きです・・・」


そう呟き、顔を天井に向け目を閉じる
そしてあふれ出たのは甘いため息

微笑を浮かべたその頬は少し赤らんでも見える
気持ちが治まったところで小さく呟く


「しかし、貴方は私のことをどう思っているのですかねぇ・・・?」


意を決するかのような面持ちで扇風機のスイッチを切る


「シロンは私のことが・・・・・」

好き、嫌い、好きと交互に声を発すると同時に
扇風機の羽を一枚ずつ取っていく

「嫌い、好き、きら・・・・・・・・・!?」

最後の一枚に手をかけたときに動きが止まり、目を見開いた





「お〜いランシーン。遊びに来たぜ〜・・・うっ!?」

やって来たシロンの目に飛び込んできたのは
足をしっかりそろえて膝を抱え込み
翼で体を覆い隠し
いつもの堂々とした態度が微塵も感じられないランシーン
隙間から覗くその目には少し涙が浮かんでいる


「おい、ランシーン・・・ランシーンさ〜ん・・・どしたのよ?」


ランシーンの視界に入っているだろうあたりで
色々な動作をして気を引こうと試みる

しかしランシーンからの反応は無い
いや、気がついているが話し返す気になれないのだろう


「はぁ・・・何かよくわからねえが、悩みがあるなら話してみろって」


優しく微笑みかけるシロンの表情にようやく視線を合わせる


「シロン・・・私はお前の・・・・・」
「ん・・・?」

「玩具、なのか・・・?」
「へ・・・・・?」


しばしの沈黙の後ランシーンの口元を押さえ辺りを見回す


「おまっ急に・・・なんてこと言うんだ!?」


慌てふためいてからかっているのか?と言葉を続けるが
ランシーンの表情は真剣で返答を待っている様子
その潤んだ瞳の視線に思わず視線を逸らしてしまうシロン


「えっと、そんなふうに思われるほど酷いことしちまったかな・・・?」


シロンのその一言にも反応を返さず同じ表情で見つめてくるランシーン
回りくどい言葉でごまかさないで欲しい
本心を真っ直ぐに伝えて欲しい


「だー!わかったよ!好きだ、好きだよ心の底から!」


その言葉を受け、シロンに抱きつくランシーン
その瞬間の表情はまるで泣きじゃくる子供のようで・・・


「ったく、しょうがねぇなぁ・・・恥ずかしい事言わせやがって・・・」

「もっと強く、抱いてください・・・」
「はいはい・・・」


扇風機占いから始まった今回の出来事・・・
お互いの気持を再確認できた不思議な不思議な魔法の道具(?


後日・・・

傷心の黒い翼プロデュース!
何度も羽が着脱可能な携帯小型扇風機
何度でも扇風機占いが可能です!
絶賛好評発売中!!(してません








本当にほしいものは?


「シロン、欲しいものとか、ありませんか?」
「なんだぁ?藪から棒に・・・」


いつものようにランシーンの元へ遊びに来たシロン
なんとなく来るのであって、いつも話題というのは少ない

ただなんとなく一緒に居るだけでも十分であり
何か話すにしてもシロンの方から話しかけることが多かった

しかし今日は珍しくもランシーンの方から話しかけてきた

それに対する返答を持ち合わせているわけも無く
また、欲しいものと聞かれるとますますその答えに詰まる


「ん〜・・・急にそう言われてもなあ・・・」


黙りこんでしまうのも考え物なのでひとまずはそう返す

しかしその返答にランシーンは少し不満そうな表情を浮かべたように思えた


「本当に、本当ですか?」
「なんだよ、まるで俺が欲の塊みたいな事言いやがって」

「違うんですか?」
「おい」


いつもは黙って何か考え込んでいるようなランシーン
かと思えばたまに思い込みが激しかったりもするのか
今の発現みたいなことをさらっと言う

いや、良く考え込むからそういう考えに行き着いてしまうのか・・・


「ふむぅ・・・まあいつもいらしていただいているわけですし
たまにはプレゼントの一つや二つと思いましてね・・・」


余計な考えでしたか?と付け加えられると
こちらの考えが透かされていたようにも思う


「そんな事ねえよ、まあせっかくだからなんか貰っといてやるよ」
「その発言、いささか萎えますねぇ・・・」


そうお互いに挑発するような発言も今では日常なわけで
実際の不快さというものはあまり無い


「そうだなぁ・・・んじゃあ新しい飛行帽でもお願いするかな」
「それはご自分で作ってしまえるのでは?それにカムバックしてもらえば・・・」

「じゃあグローブとか服とかも一緒か・・・」
「服ですか?私としては今の方が露出が高ぐはぁ!?」


こういう発言はしっかり取り締まっておかないと後で大変なことになる


「しかし参ったな、実際必要な物ってあんまり多くないしなあ・・・」


ランシーンから視線をそらして考えることに集中する事にした


ふと気がつき顔を上げるとランシーンがじっとこっちを見ている
というかいつのまに自分の正面に移動したのか・・・

気が散るので再度体を別の方向へ向け考え込もうとしたら
あっという間にランシーンはまた正面に回りこみ視界に入ってくる

これを数回繰り返すこととなり、痺れを切らしたシロンが言葉をぶつける


「てめぇさっきから何してやがる!気が散って仕方ねぇから
正面からじろじろこっちを見るんじゃねえ!」


そう言われると流石にショボンとして座り込むランシーン
ちょっとかわいいなんて思ってしまった気持を振り切り
体をまた別の方へ向けて考え込む

しかし今度は逆に後ろからの視線を感じてしまう
実際に見られていないにしてもやはり気になる

しかし突き放しておいてこっちから見るわけにもいかないわけで
少し意地を張りつつ集中し直す


「本当に、何も思いつかないのですか?欲しいもの・・・」


またそれか、と思いつつも今度は返答を返さない


しばらくすると後ろから物音が聞こえる
大きな音ではないが、何かしていることは分かる

気になるその音を無視する限界が訪れた辺りに音が止まる
そのあと明らかに場所を移動する音
視界を広げてみると、まさにその視界に入るかはいらないかの位置に
座っているのが分かる

流石に気になり視線を向けたシロンは硬直した


「・・・・っ・・!・・・っ・・・・!!」


言葉にならず口をパクパクしたあと視線をそらす

ランシーンはすっかり服を脱いでいた
いや、普段自分も服を着ていないから気にすることではないが・・・
問題なのは・・・頭に結び付けてある・・・リボン

キャラじゃねえ!キャラじゃねえ!!と思いつつ
もう一度視線を向けるとやっぱりリボンをしている

もちろん視線をすぐにそらして考え込む
あれは・・・本当にランシーンなのか、と

ふとランシーンからため息にも似た息が漏れ
また物音がし始める

今度はなんだよと視線をすぐに向ける
するとどこから取り出したのか巨大な箱
その中に入ろうとしているランシーン
その箱に書かれている文字は・・・

『愛するシロンへ』

「ちょ〜っと待てぇえ!!!」

がしっと掴みかかるシロン


「いらない・・・ですか・・・?」

そう泣き声交じりに答えるランシーン

確かにここまで露骨な行動を取られて何も言わなかったのは・・・
じゃなくて、

「だ〜!!面倒くせえ!!!」


ほしいものは何かと聞かれた
きっとランシーンが欲しいと言って欲しかったんだろう
それがまた本心を確かめることにもなるわけで・・・

でもそんなこと分かっても恥ずかしくて言えるものじゃない
だがここまでされて言わないとそれこそ落ち込まれてしまう
面倒くさいこと極まりない!

そして結局ちゃんと言えたのは落ち込まれて落ち着いてから・・・
あんな状態で言えるかっ!


だが本心であることは間違いないようだ
こんな面倒くさいことになる前に
返事を返せるようにならないといけないな・・・








塗り替えられていく心


なんだか最近ランシーンは仕事で忙しいらしい
まあサーガの相手をしていれば退屈にはなり得ないし
最初は気にするほどではなかったが・・・

仕事とはいえ、最近は拒絶されているようにも思える


「まさか、な・・・」


ふと脳裏によぎるのは
もしかしたら仕事ではないのかもしれない・・・
もしかしたら仕事の付き合いの中で誰かと知り合ったのかもしれない・・・
もしかしたらそいつと仲が良くなっているかもしれない・・・


「これは、一度問い詰めてやらねえといけないな・・・」


まずはランシーンに近づいた奴をどうするか・・・
そして浮気まがいの事をしたランシーンにどんなことをしてやろうか・・・


「・・・って何考えてるんだ俺はっ!?」









結局はこうなりました?


「おはようございます、シロン・・・朝食できてますよ?」
「あぁ・・・サンキュー」


差し込む朝日が妙にまぶしい
最近はランシーンと一緒にこの仕事場に寝泊りしている
もっとも、自分はここの社員でもなんでもないんだけどな


「今日は、お出かけで?」
「ああ、サーガが野球の試合だとかでちょっくら行って来るよ」

「まあ私のほうも仕事はあるので」
「なんかすまねえな、家事に仕事にと」

「いえいえ、サーガの相手もお仕事みたいなものですよ?
ふふふ・・・あの子の成長が楽しみですねえ・・・」
「まあな、まあ、行ってくるか」
「シロン」

後ろからシロンを抱きかかえ、止める

「夕方には仕事は終わります。それまでには・・・」
「わかってるって、寂しい想いはさせないからな・・・!」

軽い口付けが行って来ますの合図

シロンは帰るのを楽しみにしながら今日も飛び立つ



・・・・・・・・・・・・・

「夢、か・・・」

シロンが目覚めたのは秘密基地の屋上
夜中に寝たはずなのだが、太陽の位置を見るともう昼にはなるだろう


「しっかし・・・妙にリアルで鮮明だったな・・・」


夢というにはしっかりと記憶に残っていて
そのため、覚えているあんなことやこんなことに身震いすることとなる

これほどとなると、ウィンドラゴンが持っている
予知の能力が働いたのかもしれない・・・だとすると・・・


「あんなふうになっちまうってことかぁ・・・!?」


ま、いいか・・・と心を落ち着かせる
夢だったかもしれないし
夢じゃなかったかもしれない
そのどちらでもいい
そう、思った


「今日はあいつのところに遊びに行くかな・・・」







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