夏の日のプレゼント


シロン「なあ・・・お前暑くないのか?」

季節は夏真っ盛り
蒸し暑さがどうしても苦手なウィンドラゴンである
シロンとランシーンは
招集がかけられた秘密基地の屋上でぐったりしていた

ランシーン「暑いかと聞かれたら当然暑いですよ・・・」

ランシーンは自前の携帯小型扇風機を使っているため
なんとか持ちこたえているようだ

とはいえ、いくら風の化身であるランシーンによるプロデュースの
扇風機であっても、この猛暑は耐えがたかった
それに彼の体や服の色は光を吸収しやすい黒を基調としているため
日陰にでも居ないとますます暑いというのは目に見えて分かることであった

シロン「それ脱いじまえよ、見てるこっちが暑苦しい」
ランシーン「どこかの露出狂と一緒にしないで欲しいですねぇ?」
シロン「なんだとー・・・」

文句を言う言葉にも力が入らない

シロン「お前いい体つきしてるんだから恥ずかしがること無いだろうに」
ランシーン「・・・それは誘っているのですか?」

シロンは言ってしまった言葉に顔が真っ赤になり更に熱い
とんでもないことをさらっと言ってしまうほど
今は頭が回転して無いらしい

ランシーン「ですが、それに応えるには少々今はしんどいですねぇ・・・」

煽る気力も無いらしく、それがシロンを助ける結果になった
これ以上頭が熱を持ったら爆発してしまっでいたかもしれない

シロン「それにしても今日は何の用だよ・・・」

シュウ「よう!副部長に扇風機委員!今からみんなでビーチバレーやるぞ〜」
ラン・シロ「却・下」
シュウ「うぇええええ〜!?」


結局無理やり連れて来られた
ビーチバレーに参加はしないが・・・
2竜+ニコルは海に体を放り投げる
水にぬれるのはそんなに好きではないが
暑さと比べれば天と地の差だ

シロン「全く、少しは気を使って欲しいよな〜風のサーガは」
ランシーン「まあ結果的に涼むことができました、良しとしましょう」

実際体調は大分よくなってきている
暑さで火照った体を水で冷やすのも中々悪くないなとこの瞬間は思う
心地よくなってきて目を閉じる

しばらくすると何かが日を遮ったようで目を開ける

ランシーン「それでは相手をしてもらいましょうか?」
シロン「ぶふぉっ!?何でそうなる!」

ランシーン「先程煽ってきたではないですか・・・」
シロン「だー!元気になった途端これかよ!てかリーオンも近くに居るからやめろ!」

ランシーン「はて、彼ならあそこで伸びてしまってますが?」

視線をやると暑さでやられたのか水面に顔をつけたまま漂っている
・・・いや違う、あれでは息ができない
確信犯は今目の前に居る

シロン「待てって!とりあえずリーオンの安全を確保してからだ!」
ランシーン「とりあえずということは、良いのですね?」

シロン「ったく・・・しゃーねーな」

その言葉にお互い微笑を向けた



シロン「あーあー、お前服びしょ濡れじゃねえか」
ランシーン「そのうち乾くでしょう」
シロン「まあそうだけどよぅ・・・」

しばらく考え込むシロン
そして

シロン「そうだ!お前の夏用の服作ってやるよ!裁縫嫌いじゃないしな♪」
ランシーン「別にそこまでしなくても・・・」

シロン「いいからいいから!ただその代わり作業はお前の会社内でやらせてもらうからな」
ランシーン「そういうことですか」

社内は冷房もかけられていて涼しい
そこにいれば暑さを凌げる
シロンはその上に作業効率も上がると付け加えた

ランシーン「まあ、仕事の邪魔をしなければいいですよ?」

この交渉は承諾された



シロン「ランシーン!来たぜ〜♪」
ランシーン「邪魔はしないでくださいよ?」

シロン「お〜!やっぱり涼しいなここは!」
ランシーン「ふ〜・・・」

少しくらいそういう感情は隠して欲しいものです
と少し思う
服を作ってくれるというのには可愛気があるというのに

シロン「おっと、最初だけ邪魔させてくれ」
ランシーン「何をっ・・・」

シロン「サイズだよサイズ!」

ただサイズを測ってもらうだけなのに
どうにも主導権を握られているようで落ち着かない

シロン「う〜わ、長さ足りねえ・・・まあいいや、少し余裕持って作ろう」

巻尺の長さが足りず、少しばかり曖昧に長さを測ってるように見える
こんなんで本当にちゃんとしたものができるのだろうか

シロン「じゃ、始めますか」

手際よく作業は開始された
その光景に思わず見入ってしまう

シロン「今日はこんなところだな」

その言葉を聞いてようやく我に返る
自分の仕事がまだ残ってしまっていた

シロン「あ、やっぱ邪魔だったか?」
ランシーン「いえ、今日は少し量が多いだけです・・・」

シロン「そっか、じゃあまたなっ」

その言葉と共に飛び去るシロン
一時も手を休めることなく作業をしていた姿に
シロンの別の顔を見たような気がした


数日後


ランシーン「今日はそれ位にしたらどうですか?」
シロン「ん・・・もう少し・・・」

明らかに一日の作業時間は増えていた
今ではただ涼みに来ているのだろうと解釈していた自分が恥ずかしい

ランシーン「・・・シロン?」

シロンから寝息が聞こえてくる
長い間集中し続けるその作業は
流石に体に堪えるのであろう

ランシーン「貴方という方は・・・本当に可愛らしい・・・」

ランシーンはシロンを楽な体勢に寝かせてやりその頬をなでる
眠りの浅いシロンはそれに気がつき薄っすらと目を開ける

ランシーン「無理をすることは無いですよ?今日は眠りなさい」

その言葉にシロンはランシーンを求め、抱きつく
そのままこの日は一夜を共に過ごした



シロン「よ〜し!完成!」
ランシーン「・・・・・」

シロン「分かってるって言いたいことは!デザインがさほど変わってない、だろ?」
ランシーン「ええ・・・」

本当はそんな事どうでもいいのですがね
あれほど頑張ってもらったのですから
そのできた物以上のものを貰ってしまっている

シロン「けどな?着てみると凄くわかるぜ?」

言われるままに着替えてみる

ランシーン「ほぅ・・・なるほど・・・」

外見は言わないと気がつかないほどだというのに
まるで着ているかどうか分からないほどの軽さと通気性
作る前からこれほどこだわっていたのかと思うと
また嬉しさが一段とこみ上げてくる

シロン「気に入って・・・くれたか?」
ランシーン「無論・・・」

自然と抱き合い軽く口付けを交わす

ランシーン「どんなに酷いものができても私の為に作って頂いたのです。嬉しいですよ?」
シロン「どんなものでもって・・・結構ひどいな・・・」

ランシーン「すいません・・・ですがそういうつもりで言ったわけではないのですよ・・・」
シロン「わかってるって・・・」


貴方に頂いたプレゼント
身につけるたびに貴方のことを思います
貴方に頂いた思い出を感じます







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