コミケでずじぇれ 後編



「ここは・・・」

たどり着くなりそう声を発するディーノ
前もってある程度話されてはいるものの、レジェンズの数に圧倒される

「ここが会場だ。この戦いが始まれば、ひとたび多くのレジェンズが犠牲となるだろう」

グリードーのその言葉に、ディーノは気を引き締めなおす

グリードー「ディーノ、どこへ行く。こっちだぜ」
ディーノ「え?でも皆こっちに並んで」
グリードー「あ〜、大抵犠牲になるのは一般参加なレジェンズだ俺たちはこっちだ」
ディーノ「あ、うん。待って!」




「サークル参加、羨ましいわねぇ。私おっこっちゃったんだから。もーぅ踏んづけてやる」
「あーぁー眠い眠い。アンタも頑張るねぇ。闇のレジェンズはそろそろ休む時間だし」

バイコーンのキルビートとスケルトンがぼやきつつ列に並ぶ

バイコーン「私はぜ〜んぜん平気っ、なんたって今日はランシーンちゃまも来るそうだしっ
心配なのは・・・ほら、ちゃんと水分補給しとかないと干からびちゃうよ?ギュンター」

そう声をかけられたのはヴァンパイアのギュンター(フルネーム省略)
日傘で日差しを防ぎつつ何とか意識を保っている

スケルトン「カッカッカ。だからといってあげる血なんて一滴も無いけどねぇ。ほら骨だし」
キルビート「それに今の状態じゃあ周りに何しても返り討ちよね」

ギュンター「うぅ、しばしの我慢だこの屈辱を耐え抜け。生き抜くことを考えろ。
でないとこの戦い、最後まで立っていることができない。あぁ忌々しい太陽め」

キルビート「あー、煮詰まってるねえ。無理しないほうがいいんじゃなーい?」

それでも頑なに列から離れようとしないギュンター
日傘を持つ手に力がこもる

「あ、危険ですので日傘はしまって下さいねぇ」

ギュンター「 え 」

スタッフとして駆りだされているダンディーが一声かけると
そこへ視線が集まる

キルビート「ほら、しまってしまって」
スケルトン「迷惑だよぅ?」

ギュンターの中で何かがはじけた

ギュンター「はっはっは!ならば私の真の力を・・・むっ!?」

「スタミナ全開なんだな〜体調万全なんだな!」
「うむ、やはり、スタミナをつけるのにはガーリックが―」

マックとガリオンの辻ガーリック臭が、ギュンターに止めを刺した

ギュンター「ガーリック、ガリオン・・・」
キルビート「救護班!」
ダンディー「只今っ!」


シロン「なんとか間に合ったみたいだな・・・」
シュウ「うわっ!すげえ列」

ガリオン「間に合ったようだな」
マック「シュウにシロンなんだなっ」
シュウ「おうマック!」

シロン「にしてもこんな数のレジェンズまとめられるのかよ?すげえ殺気だし」
ガリオン「心配は無い。あれを見よ」

ガリオンにいわれるままその方向を確認するシロン。そこには・・・

「はーい、並んでくださーい。もう少し詰めて並んでくださーい」

シロン「・・・・・・・カネルド、ウィンドラゴン」
ガリオン「この戦いを指揮するものがいるのだ。問題は無い」

カネルド「並んでくださーい。レジェンズウォーの演習と思って並んでくださーい」
シロン「・・・・・」



メグ「これでよし、と。準備完了!あ、それとズオウ。最初の山捌いたらこれお願いね?」
ズオウ「うん、わかった」

シュウ「よう!メグ」
メグ「あ、間に合ったんだ」
シュウ「おうおう、真打の登場だぜー」
メグ「邪魔になって迷惑なんだからさっさと準備するっ!」
シュウ「ぶわぃっ!?」

ランシーン「・・・・・」
シロン「・・・・・」
ランシーン「間に合いましたか」
シロン「まあ、あいつのおかげってのもあるかな」
ランシーン「まあ間に合った所でギリギリ間に合わせたお前と私とでは在庫の数が違う。
圧倒的私の有利ですよ、フフフ・・・」

シロン「お前、俺が回ったコンビニ全部のコピー用紙を・・・しらねぇぞ」
ランシーン「ん?それは揺さぶりかなんかですか?」

シロン(大量に残るだろうな、こりゃあ・・・)




ズバーン!ズバババババ!
ガリオンのスケッチブック捌きの音が聞こえてくる
こちらは・・・

シュウ「俺も負けてらんねえ!」
シロン「またサインかよ。先に準備しておけよ」

マック「うわぁ、シロン器用なんだな!シロンの帽子にグローブなんだな!」
シロン「こういうのは何気に得意だからな」
ランシーン「だから原稿が間に合わずコピー誌になってしまうのですよ」
シロン「そういうお前もコピーじゃ、って、お前その量どうやって製本したんだよ」

ランシーン「それは会社の力を使えば問題は無い。CEOに頼んだ、のだが・・・」

シロン「だが?」

ランシーン「内容を見るなり顔が引きつって私がやると、そして何故だか髪の毛がまた薄く」
シロン「だー!やめろやめろ!聞きたくねぇ!」


メグ「ふ〜、なんとか周りきったわね」
ズオウ「こっちもおっけいだよ?」

シュウ「おー、メグどこに行ってたんだ?」
メグ「そりゃあコミケの醍醐味だもの、買いあさってきたのよ」

ガリオン「っ!待て、もしやそれはっ・・・!」
メグ「あ、ガリオンさんわかる?」

ガリオン「四大竜王が来ているのかっ!?」(ここでは企業扱い?)
グリードー「何っ!?」
ディーノ「グリードー・・・?」

グリードー「ただ買いあさっていたあの頃の俺とは違うんだぁ!・・・
ディーノ、すまない、ここは宜しく頼んだぜ」

ガリオン「(煩悩よ)消え去れぇえええ!!うぅ、やはり、運命は変えられぬのか」
シロン「おい、お前らどこに行く!」

ガリオン「戦うのだ、ウィンドラゴン」
シロン「いや、わけわからねぇ、っておい!!」

マック「ガリオン、行っちゃったんだな」
ディーノ「グリードーもだ・・・」

シロン「ちぃ、ランシーン、行くぞ」
ランシーン「今更何をしに?それに在庫―」
シロン「少しでも多く周るんだ。先に行ってはいるが、あいつらも多分、間に合わねぇ」

シュウ「ダメだって!今から行ったって間に合うわけねぇだろ!」
シロン「俺達は、この戦いに勝って、戻ってくる!」

「それじゃあ遅すぎるのよ、っと」

シロン「うわっ」
ランシーン「ん?」

シロン「えぇっ!?」

どーなってんの?

waat's happening?



シロン「まーた連れてこられたのかよ」
ランシーン「まだ半分くらい在庫あるんだけど」

シルフ「ぉ、おほん。何故そなた達は、このような道を辿ってしまったのか」

シロン「まーたそれか」
ランシーン「在庫・・・」
シロン「お前、少し黙ってろな」


シルフ「これは、らせ・・・パンフレットという」
「私たちが作ったのよ〜!」
「あまり売れなかったけどね〜」


シロン「そのパンフレットが、どうしたってんだ?」
シルフ「買ってくれ」
シロン「はぁ!?」

シルフ「このままでは開催している我々が倒れ、戦いそのものが起こらなく―」
シロン「それはそれでいいんじゃね?」

ランシーン「・・・・・・・・・」
シロン「・・・・・・・・在庫か」
ランシーン(コクリ)

シロン「で、そのパンフレットやらを買うと、どうなっちまうんだ?」
シルフ「それは、読んでみろ」

シロン「・・・・・なるほどな。わかったぜ、俺のやるべきことってのがな」

「わー!よかったー!」
「これで赤字免れる〜!」
「また開催できる〜!」
「やっぱり謙虚さが大事―」

シロン「やっぱ、やめようかな・・・」





ガリオン「しかし、シロンの機転で情報を得る事になろうとはな・・・」
シロン「そりゃあ無ぇんじゃねえの?」
グリードー「まあ、これで目的の品も手に入った事だし、読みまくるぞお前ら!」
ウ・リ「おおう!!」

シロン「そういえばランシーン、お前在庫は?」
ランシーン「捌ききりましたよ?」
シロン「嘘だろ・・・」

ランシーン「いや、貴方がパンフレット買うように促す活動をしたではないですか」
シロン「ああ、まあな」
ランシーン「その情報を聞きつけて私の熱烈なファンがいたりしたもので」
シロン「あー、3冊とか買っていくやつな」

ランシーン「観賞用は目的そのものとして
布教用
保存用
参拝用
墓にもって行く用などがあるそうで」

シロン「・・・・・」
ランシーン(まあ前情報で売り切れないって分かってたので減らしたんですがね)

シロン「そういやあお前妨害してこなかったよな、なんで?」
ランシーン「まあそういうことですよ」


シュウ「明日は明日の風が吹くってねぇ!」
マック「そーんなシュウはかっこいいんだなあ」

メグ「あ、見て見て!今度のコミケの情報!」
シュウ「こっちには綺麗なお姉さん!」
メグ「見ろおおお!!!」


こうして、何度も何度も戦いは繰り返される
こういう螺旋なら、有りなのかもしれぬな

ガリオン




ガリオン「私ではないっ!この確信犯があ!!」

げふっ


―終―






と見せかけちょいオマケ



新たに歴史が刻まれる事になった、この新たな可能性により
また別の道が開かれたのだ!

シロン「なっ、にっ・・・抽選・・・・・」

おっこっちゃったんだなあ・・・そりゃあおちるよなあ・・・
おっこっちゃったんだなあ・・・・・

これがやりたかっただけ、乙



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