ダークウィズカンパニーのとある一室

ランシーンが山積みの書類に目を通しては
必要ならば書類に書き込んでいく

その作業は一定スピードで行われ
まさに機械のごとくこなしていく


「失礼します」


落ち着いた感じの女性の声がする


ランシーン「おや、もうそんな時間ですか?」


入ってきたのは総務の頃の仕事っぷりによって
ついに昇格した秘書さん


秘書さん「少しはお休みになってください体に毒ですよ?」

ランシーン「それもそうですねえ・・・」

秘書さん「コーヒーと甘いものをご用意いたしました
どうぞお召し上がりください。では失礼します」


そう言うと秘書さんはあっという間にその場を去っていった
相変わらず早い仕事である


ランシーン「あいつは・・・流石に今日は来ないのでしょうね」


と言うとランシーンは用意されたものの方に目を向ける

そこには二人分の量が用意されている
いつもシロンはこの時間になると暇だと言ってやってくる
それでいつも何かつまんでから帰っていくものだから
いつの間にか二人分用意されるようになっていた


ランシーン「昨日の勝負・・・私が勝ちましたからねえフフフ・・・」


少し笑ってはみたが・・・
無意識にため息がこぼれる


ランシーン「仕事・・・続けますか・・・」



所変わって秘密基地
その屋上でシロンはまたまた昼寝中である
うらやましい・・・(ぁ


シュウ「でかっちょ〜!いる〜?」
シロン「・・・・・・あぁ〜?」

シュウ「おぅ!いたな!時間的に
てっきりわるっちょの所に遊びに行ってるのかと思ったぜ!」
シロン「ん・・・ああ・・・」

シュウ「なんだ?それに加えて元気ねぇのな!なんで?」
シロン「なんでって・・・別に・・・」

シュウ「はは〜ん・・・さては昨日勝負に負けて
おやつが食えないから行かないんだな?」
シロン「んな!そんなんじゃねえよ!」


確かにそれもあるけども(?)
ちゃんとした理由もあるといったらある
十中八九、昨日勝負に負けた事をネタにされて
ランシーンにからかわれることはわかってるし
わざわざそうなることが分かってていくほどバカではない


シュウ「まあまあ!わからんでもないから気にするな!」
シロン「だから違うっての!」

シュウ「そんなでかっちょにはこれ!ちょっと食ってみ?」
シロン「いらねえ・・・」

シュウ「なんでだよぉ〜!」


ここで飛びついたらそれでこそ食い意地を張っていると思われかねない
ちょっと意地を張ってみる


シュウ「食ってみろって!絶対好きだと思うからさっ!」
シロン「いらねえ・・・」


そういうとシロンはそっぽを向いて寝に入る
元々寝る気満々と言ったところだったから
このまま寝てしまってもいいかと思う


シュウ「でか〜〜〜っちょってば!」


ぐい〜っと口の端を引っ張って起こそうとするが流石に無理
シロンもそれを気にも留めずといった感じで不貞寝している


シュウ「ふ〜・・・じゃあこうだ・・・!」


もう一度口の端を引っ張って口をこじ開けると
手をササッと振って何かを放り込んだ

シロン「うぉっ・・・てめっ!・・・・・おっ?」

口の中に広がるのはほのかな甘さと
それを打ち消すかのような清涼感
呼吸をするたびに風が通り過ぎていくようだ

シロン「・・・いいな・・・これ」
シュウ「だろ〜?清涼菓子とか言うやつらしいけど・・・」

口で心地よく風を感じる
それにしてもとんでもなく気分が良い
とてつもない高揚感がある


シロン「もう一つ・・・くれねえか?」
シュウ「ん?別にいいけど?ってかお前にやるつもりだったからさ!
俺にはちょっと辛味ってか強すぎたから」

そう言うシュウから受け取る

シロン(なるほどな・・・)


過剰なまでの気分の高まりの原因は
渡された清涼菓子の中に少し混じった風
何気ないシュウからの贈り物


シロン「・・・ちょっと俺行って来るわ」
シュウ「ん?わるっちょのとこ?
なんだ結局行くのか〜!行ってらっしゃい!」
シロン「一言多いっての・・・ま、いいや」


翼を広げ飛び立ち、ダークウィズカンパニーへ向かった





ランシーン「おや?今日は来ないと思いましたがねえ・・・ククク・・・」
シロン「いきなりそれかよ・・・」

わかってるとはいえ・・・ねえ


ランシーン「残念ながら貴方が食べるようなものはありませんよ?」
シロン「わ〜ってるよ!」
ランシーン「ほう・・・」


意外だ、と言うようなリアクションを見せる


シロン「いつも貰ってばっかりだからな!たまには・・・だほらこれ食ってみろ」

ランシーン「これは・・・?」
シロン「あいつからだ」
ランシーン「風のサーガから?」


シロン「なかなかいいもんだぜ?口の中を風が吹き抜けていくようなんだ」


サッサッサ(焦りつつ中身を取り出す)


シロン「それだけじゃないぜ?その中には・・・」


(満面の笑みで)ぱくっ!


シロン「人の話を最後まで聞けよ・・・」



ランシーン「・・・なるほど・・・風、ですか・・・」
シロン「ああ・・・いいもんだろ?」

ランシーン「わざわざ私に?」
シロン「だから貰いっぱなしはよくないだろ?
まあなんだ・・・そろそろ行くぜ?」


ランシーン「シロン、待ちなさい」
シロン「ん?」
ランシーン「せっかく来たんです。食べていきなさい」

よくよく見れば手付かずのおやつ類

シロン「いいのか?」
ランシーン「えぇ、昨日は勝負に勝ちました。
つまりそれによって得た物は私の自由に・・・」
シロン「おぉ・・うまいなこれ」


ランシーン「ふぅ・・・人の話は最後まで聞いてくださいよ・・・」



お互い様


終わり



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