その頃
フィンはレジェンズらしきそいつと出会った場所へ戻って来ていた
というよりは引っ張りまわされてこの場所まで来てしまったのだが
フィン「やっと落ち着きやがったかこいつめ」
全く何が何だかわからねえ
こいつは本当にレジェンズなのかと小さな小さな
ウサギのような姿をしているそいつに視線を向ける
そいつには今アイスクリームを食わせてとりあえずは落ち着いている
フィン「まさかな・・・こんなんでこいつも今までレジェンズウオーを戦ってきやがったっていうのか?」
目の前にいる存在はどう考えても戦いとは無縁にしか思えない
戦って勝てる以前に普通に生きることだって困難そうだ
フィン「レジェンズの存在する理由は・・・」
本に記されていた内容を思い出し、そんなことを呟く
本来レジェンズは、戦うために生まれてきたもの
会った当初は浮かれていたため忘れていたが
よく考えるとこれは大変なことだと考え始めていた
フィン「また何かが起こる前触れってことだよな」
彼は今まで風のレジェンズが好きでそれを追い続けてきた
あのハルカヘップバーン程ではないにしても、
レジェンズの追っかけをしていたほどだ
フィン「戦争か・・・」
目の前にいる風のレジェンズかもしれないこいつは
本に記された予言どおり現われた
つまりあそこに書かれたすべての事は真実である可能性が高い
終わってしまった話だから気が付けなかった
当事者だった彼らも同じ思いをしていたのだろうか
フィン「こいつに戦争は無理そうだけどな」
どのレジェンズよりも弱いだろう
というか普通に動物に食われそうになったこいつは
本当にレジェンズなのかどうか・・・
フィン「お前本当に何者なんだよ・・・」
返事はなくただ一心不乱にアイスクリームを食べている
そのしぐさに思わず表情が緩む
フィン「そういやあお前の名前はなんていうんだ?」
返事を期待して言ったわけではなかったが、
その言葉に反応するようにこっちを見て首をかしげる
フィン「なんだあ?まだ無いのか?」
これまでになくこちらを気にしてじっと見てくる視線に
思わず負けて視線をそらせた
フィン「お前・・・緑色の目してたんだな・・・」
また視線をやるとまだしっかりとこっちを見ている
フィン「よし・・・んじゃあお前の名前はエンだ・・・でいいぐはっ!?」
言葉を言い終える前に飛びついてきたエンは
とびっきりの笑顔で突っ込みめり込んでくる
フィン「うわ!・・・っと・・わかったって!!・・・エンでいいんだな?」
そう言うとまたとびっきりの笑顔を見せてくれた
フィン「まったく・・・名前で呼ばれるのがそんなにうれしいのか?こいつ・・・」
ようやく気が済んだのか、近くのコンテナの上にちょこんと乗る
すぐに何かを思い出したかのようにこちらを見てまた首をかしげる
エン「ぎ〜・・・・?」
フィン「あ〜・・・」
すぐに理解できた
要はあなたはだあれ、だ
追いかけてばかりで名乗る暇なかったからな
そう思いつつも、今さらな感じがして恥ずかしそうに頭をかく
フィン「おれの名前はフィン、ってんだ。よろしく」
その瞬間風が辺りを激しく包み込む
フィン「な・・なんだ!?」
その風はエンを中心に渦巻いている
やがてその風はどんどんエンに吸い込まれていき
その形を変えた
フィン「ソウルドール・・・・」
ゆっくりとソウルドールは以前手に入れ、腰につけていたタリスポッドへと収まった
フィンは高々とタリスポッドを掲げた
フィン「・・・・リボーン!」
タリスポッドから風が吹き出し再び渦を巻き
その形を変えていく
フィン「これは・・・・」
その姿はフィンの風のレジェンズに関する知識のそれに当てはまった
フィン「ウィン・・・ドラゴン!」
エン「いい・・・風だね・・・」
フィン「・・・・・」
自分の探していたもの
追い続けた風のレジェンズが今目の前にいる
エン「どうしたの?ぼ〜っとしちゃって・・・」
フィン「んな・・・なんだよ!お前のことを俺は必死に
凄い変わりようじゃねえか!散々引っ張りまわしやがって・・・!」
見惚れてる途中に虚を突かれることとなったフィンは
声を荒げた言葉でそれを覆い隠そうとする、が
エンから目を離すことができず、再び見惚れ
その声も最後の方には歓喜の声に変っていた
エン「ん〜悪いね、どうやら私は名前を呼ばれるかこの姿になるまで自由あまり効かないみたいで」
フィン「よく・・・意味がわかんねえんだが」
エン「ん・・・人格みたいなものと考えてくれるかな?
小さい時は大抵別の意識が働くみたいな感じなんだ」
そこまで言われると流石にフィンは
いくらなんでも都合がよすぎると頭をかく
フィン「納得したくねえところだがなるほどな・・・んじゃあ・・・っておい!?」
制止するより先にエンはフィンを抱き上げ目を閉じながら軽く鼻先で触れる
エン「よろしくね・・・フィン!」
―よろしく頼むぞ・・・風のサーガよ―
フィン「風の・・・サーガ?」
なんだ今のは?
エン「フィン?」
フィン「ああ・・・なんだかよく分らねえが・・よろしくな!」
何か別の声が聞こえたような気がした・・・のだが・・・
フィン「さて・・・どうしたものか」
大きくなってしまった今は連れて歩くのはさすがにと考えるフィン
エン「カムバックさえしてもらえば小さい姿に戻れるよ?」
フィン「でもそれだと・・・」
またあいつに引っ張りまわされるんだろうな・・・・
エン「困った時は名前で呼んでくれれば多分・・・すぐに応えられるから」
フィン「ん・・・そか、わかった・・・ほいじゃカムバーっうわぁあ!?」
エン「の前に・・・・」
フィンを背中に放り投げ、翼を広げる
エン「ちょっとくらい風を・・・一緒に」
そして飛び立つ
こんなことは初めてだから流石に最初はビビったものの
少しすると恐怖を感じるどころか
安心感に包まれるような感じがした
フィン「風が・・・最高だぜ・・・」
手触りが心地よい背に触れつつ本物なのだと
再び感傷に浸る
望むならば、このままどこまででも・・・