シュウを抱え、家に向かうランシーン
通り過ぎていく風がシュウの髪を揺らす


シュウ「なあわるっちょ〜」

シュウは仰向きになりながららんしーんに話しかける

ランシーン「少し休んでいてください・・・家族には元気な姿を見せたいのでしょう?」
シュウ「ん、大丈夫・・・・・それよりさー、お前今どこに住んでるの?」

ランシーン「そんな事聞いてどうするのですか?」


飛ばされないようにタリスポッドに入っていたシロンもその会話に反応し
ねずっちょの姿で現れシュウの頭に乗る


シュウ「うちに泊まらない?」
シロン「ガ!?」
ランシーン「!?」


シロン「ガーガガガガー!」
ランシーン「シロンの言うとおりですよ?急にお邪魔したら家族が驚くでしょうに・・・」

そう話すランシーンの脳裏に、過去自身が拒絶された場面が甦る
あの時はどうとも思わなかったが、今では多少気にかかる

シュウ「ん〜・・・そか・・・・でも今日はまだ一緒にいたいんだよ・・・あ!ねずっちょは強制ね!!」

シロン「ンガ〜?」



以前シュウは親が居る時はシロンでさえ家に来ることは嫌がっていた
どういう心境の変化だろうか?
にしてもねずっちょならまだしも
ランシーンの体の大きさでは家に入ることさえ無理である


ランシーン「今日のうちに会っておきたい人がいるんです。とりあえず今日は・・・」
シュウ「だめだっ!!!」


突然声を荒げるシュウ


シュウ「やっぱだめ・・・一緒にいて・・!!」

ランシーン「何故そこまで・・・?」


シロンも聞きたいことは同じであるかのように首をかしげる


シロン「ガー・・・」
シュウ「だってお前らさぁ、放っておくとまた勝手にあーだこーだやってどっかいっちまうんじゃねえのか!?今度は絶対に嫌だからなっ!」

シロンとランシーンは驚いた顔をした後
すぐに察したのか、視線のやりどころに困っている


シュウ「嫌なんだ・・・もう誰もいなくなっちゃうのは嫌だ
俺にはどうにもできなかったじゃんかよ〜・・・・・
わるっちょ置いてきぼりで・・・他のみんなも消えちゃって・・・だから・・・」


静かに家の前に着地するランシーン
そっとシュウを降ろす


シュウ「やっぱり・・・だめ・・かな・・・」


しばしの沈黙が続く


ランシーン「仕方・・・ありませんねぇ・・・・いいでしょう!」
シロン「ンガ!?ガ〜ガガガガガー!!!」


シロンは色々突っ込んでいる様だが構わず言葉を続ける


ランシーン「私をカムバックしてください」
シュウ・シロン「!?」

ランシーン「今の私なら多分できるでしょう・・・・」


そう言って静かに目を閉じて戻ってきた記憶のかけらを集めていく


ランシーン「それにあなたは・・・・・私のサーガなのでしょう?」
シュウ「あ・・・・・・」


それは忘れもしないあの時に咄嗟に出た言葉


『俺はさ、このでかっちょのサーガだからさ、お前のサーガでもあるんだ!』



シュウ「うん・・・やってみる!」



シュウはタリスポッドを高々と掲げる、そして・・・


シュウ「カムバーック!わるっちょ!!!!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


シュウ「あれ・・・?やっぱりだめなのかな;俺、やっぱりお前のサーガじゃ・・」

ビシッ!

シュウ「うべっ!?」


シロンの一撃がシュウの顔面を捉える
一方のランシーンは、片手で頭を押さえてくつくつと笑いながらもため息をしている


シュウ「あ!そ・・そっか!ごめ;カムバーック!ランシーン!」


その掛け声に答えるかのようにランシーンは風に包まれる


ランシーン「フフ・・・台無しですねえ・・・ですがあなたらしい・・」


タリスポッドに吸い込まれていく・・・そして


ランシーン「フンググガ!」
シュウ「ヘ!?」
シロン「ガ!?」


ねずっちょとうり二つの姿になったランシーン
色を同じにしてしまえば区別がつかないほどだ


シュウ「くっ・・・・・く・・・」
ランシーン「フガ?」
シュウ「くははははははは!!そっかそっか〜!お前もなんだ!あははははは!」


笑いが止まらないシュウ、それを見て少し恥ずかしそうにしているランシーン


シュウ「あはは!ごめん!じゃあ・・・・いこっか!」
シロン・ランシーン「ンガ!」


シュウの満面の笑み、いつものシュウで家に帰ることができそうだ


シロン「お前もその姿になれたんだな」
ランシーン「えぇ・・・まぁ・・・」


シロンはランシーンにガガガ語で話しかける


ランシーン「宇宙空間でこの姿です・・・さて、何の話かわかりますか?」
シロン「さーて、なんのことでしたっけ?」


うすうす感づいていながらもあえて流す
この姿でいるときは非力極まりない
この状態で宇宙空間、どうやって帰ってきたかなんて
隕石の衝突くらいしか・・・というよりそういう感情が流れ込んでくるんだが・・・


シロン「ま、まぁその姿は今回都合よかったし、な?・・・あ」

自身で墓穴を掘った事に気まずい空気が漂う

ランシーン「まぁ、そういうことにしておきましょう」

そうは言われながらも納得のいかないシロン

この姿でいたいと頼んだのはカネルドウィンドラゴンの時で
一つになってる時だったから、自分の意見はあいつの意見でもあり・・・
という感情すら筒抜けなのか、鋭い視線を向けられた

シロン「あ〜、なんか腹立つ!」
シュウ「おーい!早く来いよ!!」

一触即発な状態だったにもかかわらず
裏を返したかのように、ンガッ!っと返事を返す

そしてシュウが家に入っていき、扉が閉まるのを合図にまた裏を返し
小競り合いを開始させた

小さな風と風がぶつかり合い、相打ちとなり、果てると
ようやく落ち着いたのか、静かに言葉を交わす

ランシーン「なぜこれほど早くこの世界は・・・再び黄昏へと向かい始めてしまったのだろうか・・・」

その言葉にシロンはため息一つして仰向けになり 星がちらほら見え始めた空に視線を向ける

シロン「まあでも、それでも俺は・・・今は戻ってこれて本当によかったと思う」

ランシーン「彼らを巻き込むことになってもか?」

しばし目を閉じ考える

答えは出てこなかったのだが
本当はもっと簡単なものなのかもしれない

シロン「少なくとも、いつものあいつに戻った・・・今はそれでいい」

その言葉を聞いた後、ランシーンも仰向けになり目を閉じる

ランシーン「やれやれ、貴方という方はよくもまあそんな恥ずかしい事を言えるものだ・・・」

ようやく自分が言っていた事に気がついたシロンは
慌てふためき何事も無かったように振る舞い立ち上がる

シロン「ほ、ほらっ・・さっさと行くぞ・・・!」
ランシーン「まったく・・・」



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