放課後
シュウはいつも乗っているキックボードに乗っている
シュウ「ほらほら行くぞ〜!秘密基地〜!」
メグ「あー待ってよ乗せて〜!」
マック「僕も行くんだな!」
シュウ「ぁ〜ず〜じぇれ〜♪」
メグ「なにそれっ!」
シュウ「歌は愛を呼ぶんだ〜!」
メグ「くさっ!」
マック「かっこいいんだな・・・」
秘密基地に着くなり扉を勢い良く開け
開口一発元気な声でそこに居たシロンに話しかける
シュウ「よ〜ねずっちょ〜!元気してたか〜?」
シロン「・・・・・・・・・・・・」
一度こっちを見たがシロンからの返事は無く、外を黙って見つめている
シュウ「なんだよ〜素っ気無いなあ・・・反抗期?」
その声にも反応しない
シュウ「あ〜なんだよ〜!メグ!マック!屋上で遊んでこようぜ!」
メグ「あ、うん」
マック「行ーくんだな〜」
三人がいなくなった後もシロンは昨日吹いた風のことを考えていた
シロン「ガ〜・・・・・・・・」
(あの風どっかで・・・何か懐かしいというか・・それとも・・・違う?)
はじめはただとてもいい風だと思った
だけど何かが引っ掛かっていた
確かにどこかで・・・
その時
シュウ「え?」
シロン「ガ?」
またいつもと違う風が吹く・・・
それと同時にシロンは何かを感じ取った
呼んで・・・いる?
刹那何かを思い出したかのように目を見開いた
シロン「ん・・ガッ!」
シロンは机にあった自分の体より大きなシュウのタリスポッドを
持ち何処かへ行こうとする
シュウ「ねずっちょ・・・!あっ・・・・・」
戻ってきたシュウはその光景を見て動きを止める
メグ「どうしたの急にシュウ!」
マック「随分急いでたんだな!どうしたんだな?」
後ろから来た二人にはシュウの表情がよく見えなかったが、
口元が微笑んでいたように見えた・・・
いつもとまた違ったその雰囲気にメグとマックは動きを止めて見入る
シュウ「ねずっちょ・・・・・」
シュウ「行くぞねずっちょ!!!」
シロン「ガガー!」
メグ「待ってよシュウ!」
マック「シュウ!」
たどり着いたのはとある温室の植物園
迷うことなくこの場所に来ていた
シュウ「入るぞ!」
走ってその中に入って行き、メグとマックはどこか懐かしさと不安を感じながら
その後についていく・・・
メグ「待ってよ〜!ここ勝手に入っていいの?」
マック「でもなんかここ来た事があるような気がするんだな!」
メグ「え?マックも?」
気がつくとシュウは足を止めていた
シュウの視線の先には・・・黒い風が渦巻いている・・・
メグ「なにあれ・・・シュウ!なんでそんなとこといるの!危ないでしょ!」
マック「危ないんだな!離れるんだな!」
シロン「ガーガ!ガガーガガッガ!」
シロンが何かを言っている
それに応えるようにシュウは高々とタリスポッドを掲げる
シュウ「カムバーック!!!」
シロンの体は白い渦巻く風になり・・・黒い渦と混じりあい・・・
一つの風になったそれはタリスポッドに吸い込まれていく
シュウ「リボーーーーーン!!!!!」
タリスポッドから噴出す風が辺りを包んでいく・・・
メグ「え・・・・・?」
マック「あ・・・・・・」
風に吹かれた途端
メグとマックが持っていたおもちゃであるはずの
ソウルドールから光が発せられる
やがて渦巻いている風は目の前で再び二つに分かれ、
徐々にその姿をあらわにしていった
現われたのは
青い体に白い翼をもつドラゴンと
黒い体に黒い翼をもつドラゴン
向かい合う二匹はゆっくりと目を開けた
シュウ「で〜かっちょ〜!!」
現れるや否やシュウはシロンの顔に飛びつく
シロン「へへっ・・・よぉ・・・!・・・シュウ・・・」
シュウ「え?うわっ・・・お前うわっ・・・ずりぃ・・・よ・・・!」
シュウは涙目になりながらもそれを抑えようと笑顔を作る
「来ましたか・・・・・・・」
シロン「ランシーン・・・無事だったのか・・・」
ランシーン「ええ・・・おかげ様で頭がまだ痛いですよ・・・・・」
そう言ってにやりと笑う
シロン「・・・はぁ?」
ランシーン「いや、ね。私は宇宙空間にいましたからねぇ・・・どうやって戻ってきたかと思うと
今でも身震いしてしまいますよ・・・」
シロン「それが何で俺の所為になるんだよ!」
「よお・・・やっぱりここか・・・!」
横入れされた言葉の主は炎の翼を持つドラゴンと・・・・
マック「ディーノ!!」
ディーノ「やあマック・・・・」
シロン「なんだお前かブレイズの・・・」
グリードー「俺はグリードーだ」
メグ「リボーン!!!」
なにかを思い出したかのようにメグも続く
タリスポッドから水が溢れ出し
やがてそれが姿を変えていく
「メグー!!!」
メグ「ズオウ!ズオウ!!」
ズオウ「また会えた・・・メグ・・・!」
ランシーン「マック君・・・グリフィンを・・・」
マック「あっ・・・うん!はいなんだな!!リボーン!!!」
緑色の光がタリスポッドから溢れ
そこから現れるなりその巨大な翼はマックを抱いた
ガリオン「久しぶり・・・なのかな?マック・・・・」
マック「うん・・・!うん!!久しぶりなんだなガリオン!」
一通りそれぞれ再開の挨拶を済ませる
状況をのみ込んだ一同はそれとなくこの話題になるのは当然のことだった
グリードー「さあて・・・以前にも似たようなことがあったなあ・・・
今回は前みたく嫌な感じで終わりたくはないんだがな」
その言葉に一同の視線が黒のドラゴンに集まる
グリードー「ラン・・・シーン」
過去、同じレジェンズでありながら対立した仲である
結果、命のやり取りも行われている
自然と凍りつく空気にシロンが少し焦りつつ弁解に入る
シロン「あっと・・・こいつのことを知ってるのは俺たちだけだったか・・・なあ・・・」
シュウ「みんな聞きたまえ!こいつはレジェンズクラブの新しい団員だ!
役職は扇風機・・・」
シロン「あ〜!ややこしくなるからその話は少し待て!」
ちぇっ、といったシュウの態度に軽く鋭い視線を入れるシロン
シュウが固まったのを確認して静かに語りだす
シロン「こいつは俺だ・・・俺自身・・・俺がこいつ自身でもある
カネルドウィンドラゴンになった時俺たちは一つだった。
本来俺達ウィンドラゴンは一体しか存在しないのが普通なんだろ?
・・・・・んまぁそんなところだ」
上手く伝えられたかどうか心配そうに辺りを見て確かめるシロン
一部は頷き、一部は黙って聞いているのを確かめ、表情を落ち着かせ、言葉を続ける
シロン「こいつは、レジェンズウォーに勝つために俺達の力を覚醒させようとして
俺たちレジェンズ同士で戦わせたりしたんだ・・・今まではそれで間違いはなかったんだろ?
だからって許せっていうのは虫がよすぎるかもしれねえが・・・」
あの時一つの存在になった時に共有した記憶
お互いに悩み、苦悩していたことは間違いなかった
ランシーンが起こした行動により、命の危険にさらされた仲間もいる
説得とかそんなもので受け入れてもらえるかわからなかったが
自身でしか理解できていないとはいえ、間違いなく他と変わらないレジェンズの一員なのだ
シロン「あ〜、つまりはこいつがしてきたことの責任ってのは俺にもあるんだ・・・だからその・・・」
ランシーン「シロン」
割って入ったランシーンは目をつぶったまま黙って首を横に振る
それを見てシロンは困ったように頭の付近を掻いた
ランシーン「私は私だ・・・」
シロン「でもよ〜・・・」
ランシーン「私の意思でやったことだ。お前は関係ない・・・」
ガリオン「もう十分であろう」
そこへガリオンが割って入る
ガリオン「どのような経緯だったとしても、お主らはレジェンズウォーを止めたのだ」
その一言で皆に笑みがこぼれる
ガリオン「もしも同じ立場ならば自分も同じことをやったとしてもおかしくはない
むしろそうすることが我々の使命であり当然なことなのであろうと諭していたことだろうと思う
それに今は過去のことにとらわれている場合ではないのだろう?
何故我々は危機が去ったはずのこの地球に再び呼ばれることとなってしまったのか
そこが重要であろう?」
核心を突いているガリオンの一言にこの話題は済んだものとして
一同は納得したようだった
シロン「さーて・・・・・とは言ったものの色々とまた忘れちまってたのが
少ししか戻ってきてねえから・・・
何が起ころうとしてるのか俺にはさっぱり見当がつかねえんだよなあ・・・」
無責任な一言ではあるがその表情は真剣そのものだ
シロン「まったく情けねえ話だが説明頼んでもいいか?ランシーン」
ランシーン「さて、どうしたものですかねぇ・・・・・・」
シロン「おいおい・・・お前もか?」
ランシーン「危機は感じ取りました・・・だから私もここにいます。しかしその正体はまだ・・・・」
何か変化があったとすれば・・・
シロン「・・・んじゃあちょいと質問に答えてくれ・・・昨日吹いた風はお前か?」
ランシーン「それはなんのことでしょうか・・・?」
シロン「ちっ、やっぱりか・・・違和感ありまくりなんだよな・・・」
ランシーン「風・・・今回のことに関係あると・・・?」
シロン「変わったことなんてそれしか思いつかねえし、可能性はあるんじゃねえか?」
その会話を皆黙って聞いていた・・・ある一人を除いては・・・・
シュウ「やっぱり・・・みんな忘れちまってたんだ・・・・」
メグ「シュウ?」
皆の視線がシュウに集まる
シュウ「俺・・・おれ・・・・・」
シュウの目からは涙が静かに流れている
シロン「あー・・・その・・・なんだ・・・・・」
その様子を見てシロンが優しく話しかける
シロン「もう会えないとか嘘ついちまって悪かったな・・・
またこうなるとはさすがに予測がつかなくてな・・・」
シュウ「そういう嘘は別にいいんだよ!!」
シュウはシロンの腹部に飛びつき、シロンは手でそれを支えた
シュウ「戻ってきてくれて嬉しかったんだ・・・でかっちょ・・・
でも寂しかったんだよぉ・・・誰も・・・誰も覚えてなくて・・・!
俺一人だけ・・・」
シロン「なっ・・・!ってことはお前は記憶が残っていたのか!?」
シュウ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ランシーン「何故でしょうねぇ・・・そんなことが起こるはずはないのに・・・
しかし好都合でしょうか・・・欠けている部分の記憶は
皆に少しずつ話してやるといいでしょう・・・」
シロン「コイツには説明とか無理だって・・・・」
シュウ「ぬぁにぃ〜!」
そう言うとシュウは飛び降りた
シュウ「確かに・・・そういうの・・・苦手だけども・・・・みんな!!!!!!」
腕で涙をごしごし拭いながら全員に向かって静かに口を開く
一同「?」
シュウ「・・・おかえり!」
温室に穏やかな風が吹く
シロン「ああ・・・また世話になるな・・・!」
シュウ「よし、じゃあみんなでレジェンズクラブの歌を歌うぞ〜!!」
一同「え〜・・・・・・・」
ランシーン「なんですかそれは・・・」
ガリオン「私は歌わぬ」
シュウ「相変わらず硬いなあ・・・給食委員!それと扇風機委員は初めてだったな!
んじゃあ歌詞カード渡すから明日までに覚えてきてね!はいっ!」
どこから取り出したのか・・・いつ準備したのか・・・
ランシーン「む・・・むぅ〜・・・・」
シュウ「あ、音取らなきゃわっかんないか!やっぱ歌うぞ〜!」
どこからとも無く音楽が聞こえてくるような・・・気がする
シロン「あ〜記憶ちゃんと戻ってないから俺パスな」
グリードー「嘘はいけないぜ〜♪シロン」
シロン「んな・・・お前なんでそんな乗り気なわけ?」
ガリオン「何気に気に入っているのではないか?グリードー・・・」
グリードー「あ・・・そんなんじゃねえ・・・そんなんじゃ・・」
ズオウ「歌楽しい!みんなで歌お〜?」
シュウ「いいねえ!会計委員!保健委員!!そんじゃ歌おうか・・・ってあれ・・・」
シロン「なっ!危ねえ!!」
突如ふらつくシュウ・・・
寸でのところでなんとかそれをシロンが支えた
シロン「どうしたシュウ!!」
シュウ「わかんない・・・なんかすっげー疲れてさ」
シロン「どうしたってんだ・・・・」
ディーノ「これは・・・・・・」
グリードー「だな・・・久し振りだろうから覚醒しきれてないのかもしれねえな」
ランシーン「風のサーガ・・・シロンをカムバックしなさい」
シュウ「え?やだよ〜久しぶりにみんなで会えたのに・・・」
ランシーン「今回が最後と言うわけではないでしょう」
シュウ「そっか・・・そうだな!カムバック!」
シロン「またな・・・」
タリスポッドに戻りねずみの姿に戻る
ランシーン「私が送りましょう」
シロン「ガガガ・・・・」(頼む)
シュウ「ごめんなーみんな・・・部長の俺がこんなんで・・・」
返答に困ったのか言葉を返せない一同
ランシーン「行きますよ?」
シュウ「おっけ〜・・・」
飛び去った後沈黙を破るディーノ
ディーノ「なんで・・・あいつだけ・・・」
グリードー「わからねぇ・・・俺たちでさえ大丈夫なのに」
ディーノ「シロンが最初に現れたときも・・・あんなだったかい?マック、メグ・・・」
マック「記憶が曖昧だからなんとも言えないけども・・・
あんなふうになったのは初めて見たんだな」
メグ「私も・・・大丈夫かな・・・?」
ディーノ「ひとまず休めば元に戻るよ・・・僕がそうだったからね・・・!」
静まり返る一同
ディーノ「大丈夫さ!あいつがこんなことでどうにかなるわけ無いよ!
それより・・・せっかく集まったんだし、みんなで少し話そうよ!」
グリードー「そうだな・・・とりあえず風は吹いている・・・
心配は無いだろう・・・」
そう言いつつも・・・心のどこかでは不安が拭えない一同なのであった・・・
08.07.02