知った無駄な知識だが
死に間際ってのはいろんな記憶が一気に甦るらしい
だからといってこれを見せる事も無いのになあ
夢の続き
レジェンズウォーが始まり
もう最後まで戦うしかない道の先
「えっ・・・?」
「あぶねぇ!シュウ!!」
ジャバウォックから放たれる凶弾
必死に庇おうと盾になるカネルドウィンドラゴンのシロン
風の障壁を張り、その攻撃に背を向け、シュウを懐に抱え込み守る
防ぎきれるかどうかなんて関係ない
しかし、それは更に大きな影によって遮られる事となった
シロン「風の・・・竜王!?」
風の竜王「おおおおおっ!!」
巨力な風の力をぶつけ、ジャバウォックの攻撃を跳ね返そうと試みる
みるみる攻撃は押し返されていき、終にはその方向を変える
だがその攻撃の半分は跳ね返す事ができずに風の竜王へ直撃した
ジャバウォックへと返された攻撃は直撃し、大きく体が傾く
それに追い撃つようにレジェンズ達から追撃が放たれる
戦いの終結は近いだろう
シロン「おい・・・おいっ!風の竜王、お前さん、なんでっ!?」
風の竜王「まさかな・・・私も同じ事をしてしまうとは夢にも思わなんだ」
シロン「同じ事・・・?」
風の竜王「風のサーガとは不思議な者だな。頑なに使命を突き通そうとする私を揺り動かす。
前の戦争でも、その理由を知ることなく風の竜王はサーガの盾となって散って行った。
そしてその後を継いだのが私だ。今ならその気持ちが分からんでもないな。」
シュウ「ちょっと・・・あんたまで死んじゃうの?駄目だって!力、強くておっかないけど悪い奴じゃないんだろ?」
風の竜王「・・・大丈夫だ、それよりも、お前達にはまだやるべき事が残っている」
シロン「・・・・・なんだ?」
風の竜王「新たなウィンドラゴンの誕生の儀だ。なに、難しくは無い。二つの風が混ざり合えばそれでいいのだ」
シュウ「え?なにっ?新しいウィンドラゴン?でかっちょが増えて・・・え?えぇっ?」
シロン「あー、えっとな、このお偉いさんが疲れて引退したいって言ってるから、
そしたら俺が跡継ぎな。だからその・・・俺のあとを継ぐやつも必要だ。まあお前はいつも通りにな?」
シュウ「ちっとも・・・わかんない」
シロン「覚えてるか?ブルックリンの風」
シュウ「うん、あそこに吹いてる風って凄く大好きなんだ」
シロン「じゃあそれを戻すためにまた風が必要だ。それを思い出してくれれば十分だからな」
シュウとシロンを中心に風が渦を巻き始める
風の竜王「ふふっ・・・私はサーガと仲違いしていてな、結局風は混じりあわず、二つに分かれてしまった」
シロン「それって・・・」
風の竜王「そうならないように、しっかり心を一つにするのだな」
共に感じた風、いつまでも吹いていてほしい風
シュウ「も、もうもどれねぇの?」
シロン「馬鹿、戻る為に、だよ・・・」
シュウは泣き出しそうになるのをぐっと堪え、力強く頷いた
シュウ「うん!」
風が空中の一点に吸い込まれ、それが形を成す
シュウ「ちいせえ・・・」
シロン「俺もこんなんだったらしいぞ?」
シュウ「うそ」
新たに生まれでたウィンドラゴンの体長はシュウの半分程度
そのウィンドラゴンはシュウとシロンを見るや否や飛び切りの笑顔を見せた
メグ「シュウ〜!何処にいるの〜!?」
風の竜王「さて、まだ仕事が残っていたようだな。行くとい―」
シュウ「メグ〜!」
風の竜王「・・・・・いつの時代も、か」
シロン「・・・・・」
「追わなくて、いいの?」
生まれ出でたウィンドラゴンからの第一声がそれだった
驚愕の表情をするシロンにまた飛びっきりの笑顔を見せる
風の竜王「そうだ、お前は結局、この道を選ぶのか?」
場違いな質問ではあるが、それでも確信を持ってシロンは首を振る
グリードー「ウォルフィー!リーオン!どこだ!?・・・何処にいるんだ・・・」
ディーノ「グリードー・・・」
シロン「選らばねぇさ、こんな道」
風の竜王「そうか・・・ならば、私の負けという事になるかな?」
シロン「さあな・・・これから次第さ。じゃ、行くぜ」
そしてシロンは風になり消えた
風の竜王「お前も済まないな・・・お前の未来はこれで消えてしまうかもしれない」
その言葉は、新たなウィンドラゴンに向けられた
「いいの、またこうやってここにもどってきたという事は、私も失敗したって事だから。
それに、それより何より・・・」
とってもいい風だったから
まだこの風が止んで欲しくないから
シロン「分かったぜ。俺のやるべき事ってやつがな!」
シロンはスピリチュアルレジェンズクラブの面々に拍手で迎えられた
そうだ、あのウィンドラゴン
忘れもしねぇ、あの笑顔に映る瞳の色
同じ・・・緑色・・・・・
シロン「どういうこっちゃ、こりゃ・・・」
クリスタル状の矢に貫かれた自身の体から痛みは一切無い
それどころか力が漲ってきている
そして終には体の中へと溶け込んでしまった
力が溢れ出る
シロン「お前・・・・・はっ!?」
矢を放った相手、エンは小さく笑みを作ると
コマンド化が解除され、そのままゆっくりと地面へ落下していく
間一髪のところで拾い上げ、ゆっくりと地面へ降ろす
シロン「お前・・・なんでこんな事を?次はお前の番だったろうに・・・」
辛そうに目を開けたエンからは・・・あのとびっきりの笑顔が向けられる
エン「言ったでしょ?貴方達の風が好きだから。ちゃんと追いかけないと・・・!背を向けちゃ駄目だよ・・・」
フィン「本当に・・・馬鹿だよなあ・・・」
フィンが涙を堪え、エンの顔に歩み寄る
エン「いっぱい迷惑かけたから、思いで作ったから、十分。
本当は、まだこの世に存在すらしていなかったんだから。十分・・・」
フィンの手がエンの顔に触れ優しく撫でる
安心のため息と共に、エンの体はソウルドールに戻ることなく消えた
その風は・・・
フィン「元々はあんたらの風なんだ。心が傾いて、失われた風・・・」
シロンのへと吸収されていった
フィン「おら、さっさと部長連れて帰って来い!
中々ジャバウォックが実体化しないところを見ると、迷ってるんだろうよ。お前らの仕事だろほら!」
シロン「すまない・・・行ってくる!」
実体化できていないジャバウォックの中心へ向かい飛び上がる
そして闇色のその中へ消えていった
それを見送った後、フィンの体が後方へ傾く
グリードー「おっと・・・ったく、心配かける上に迷惑この上ねぇや」
フィン「全くだ。本当に好きかってやって・・・本当に・・・・・」
暗がりを抜けるとそこには見覚えのある道
シロン「入って来れた、みたいだが・・・」
リンドブルム「ようこそ」
シロン「邪魔だ」
リンドブルム「同じ失敗はせぬよ。先へ行きたければ私を倒してからだ」
「ふむ、ならば私が相手をしましょう」
「ん・・・?あ、てめぇ、また!」
いつの間にかランシーンが現れる。つまりは元通り二体に別れたわけだが
シロン「また自分が犠牲になりますってか?冗談じゃないぜ」
ランシーン「そういうつもりはありません。それともあれですか?
私が今のあの頑固そうなサーガを連れ戻せるとでも?」
シロン「・・・脅せば来るんじゃねぇか?」
ランシーン「冗談はそれまで、行きますよ?」
シロンがリンドブルムの脇を目指し真っ直ぐに飛ぶ
リンドブルム「通さぬ・・・!」
そこの道を塞ごうとリンドブルムが動く
ランシーン「ウイングトルネード!」
リンドブルム「む!?」
シロン「おわっ!?」
ランシーンの放つウイングトルネードは道を作る役割、
妨害の意味を持っていたのだが、シロンを巻き込んでしまう
シロン「てめぇ!何しやがる!」
ランシーン「なに、加速するのにも役に立つでしょうから」
そうランシーンは言い放ち、くつくつと笑う
シロン「後で覚えてろよ!くそ・・・しっかり生き残りやがれよ!」
リンドブルム「待て、逃がさん」
ランシーン「ダルドム」
再びリンドブルムに攻撃が放たれ、その進行を抑制する
リンドブルム「闇の力!?・・・貴様」
ランシーン「彼らは今、新しい道を開こうとしています。
そこへ介入するのは無粋だとは思いませんか?
戦いに生きる者はそういう者同士、戦ってればいいんですよ。
貴方も、あまり面倒くさいのは好きではないでしょう?」
ランシーンの翼がニ対四翼へと増える
ランシーン「この中は心地よい・・・私の中の使命を司る戦いの闇の部分が増大していますよ、クク・・・」
ランシーンは自分の翼一つ、自身の手でもぎ取る
そのもぎ取られた翼は変形し、鎌の形状を取った
ランシーン「コマンドウィンドラゴン・ブレイクウイング。行きますよ?」
リンドブルムは笑みをつくり、余計な考えを払い、目の前の敵に集中した
シロン「シュウ、どこだ・・・!」
長い道を真っ直ぐに飛び続け、ようやくそれも終わりを迎える
シロン「シュウ・・・・・!」
シロンの呼びかけに体をビクッと動かすシュウ
シュウは透明の球体の結界のようなものの中に入ったまま背を向け座っていた
そこへいくつもの触手が取り込もうとまとわり憑いているが
拒絶されているのであろうその半分は覆われずに残っていた
シロン「ほら、戻るぞ。皆待ってっから」
シュウ「・・・・・」
シロン「あー、ま、力づくでも連れて行くけどなあ」
ゆっくりと歩み寄るシロン
もう少し近づけば届く所まで来ると
シロンは何かの気配に反応し後方へ飛びのく
その飛びのく前のその場所を闇の閃光が払った
ティアマット「邪魔しないで貰おう」
シロン「邪魔って、こいつ思いっきり迷ってるじゃねぇか」
シロンはグローブをギュッとはめなおし、戦闘体勢を取ると
風がシロンを纏い、力をコマンドクラスへ引き上げる
そして翼状の剣をティアマットへ向ける
シロン「邪魔しないで欲しいのはこっちの方だな」
次々と放たれる攻撃を剣で払いのけチャンスをうかがう
不用意に放たれた攻撃ならば跳ね返せる
そういったことを考えつつ、シロンはシュウに声をかける
シロン「おい!いい加減そっから出てきたらどうだ!」
シュウ「・・・・・」
シロン「んなことしてるとあとでメグにチョップされるぞ?」
シュウ「・・・・・」
シロン「マックも戻ってきて欲しいと思ってる。心配させんな」
シュウ「・・・・・」
シロン「キザ男はどうかなあ・・・」
僕はディーノだ!という声が何処からか聞こえる
その声にシロンは動揺し、攻撃をくらいそうになるが何とかかわし、持ち直す
シロン「俺達だって感謝してるんだぜ?ここに来れた事を・・・それを自分で壊してどうする?」
シュウ「・・・じゃあさ、この先さ、俺どうすればいいの?」
シロン「考える!」
ティアマットの攻撃を感情に任せ跳ね返す
それが直撃し、ぶっ飛んで行く様を見届け少し時間ができたことを確かめる
シロン「考えて、考えて、考える。だから一見できなさそうなことも何とかなる、
かもしれねぇ。今までと変わらねぇか?ははっ!」
シュウ「・・・・・」
シロン「それさえできなくなったら、終わりだろ?今ならまだチャンスはあるさ」
シュウ「・・・・・」
シロン「ああ!もう、俺の立場が無いんだって!」
再び体勢を立て直したティアマットが襲い掛かってくる
シロン「お前が教えたことなんだ、ぜ!・・・・・うっ!?」
シュウ「・・・でかっちょ?」
伝わってくる痛み
片割れの状況が直に伝わってくる
ランシーンの野郎、そろそろ限界か・・・?
シロン「それと言っておくけどな!」
片手で胸を押さえ剣を振るいながら叫ぶ
シロン「お前俺が戻ってきてから俺のことを一度も名前で呼んでねぇじゃねぇか!」
シュウ「!!」
シロン「ぐっ!?」
痛みの所為か、動きの鈍くなったシロンをティアマットの爪が捕らえ
仰向けの状態で地面に磔にされる
ティアマット「戻らずとも良い。共に螺旋の中を巡れば、終わりが来る事もない」
シロン「うるせぇ・・・戦争が来るたびにシュウをお前らと一緒に、
何度もみんなの泣きっ面拝ませる気か・・・?」
体を押さえつけているティアマットの手に力がこもる
徐々に圧迫され、鎧が形を保てなくなると
風となり消え去り元の姿へと戻ってしまった
それをいいことに更にシロンの体を圧迫していく・・・
シロン「ぅぐあっ!?あ・・・ぐぁああぁぁぁ・・・・・」
シュウ「・・・・・ろん・・・」
シロン「良く聞こえねぇってんだ、よ!ほら・・・言って、み・・・?」
シュウ「し、しろん・・・シーローンっ!!」
シュウの周りを囲んでいた結界がぶっ飛ぶと
風が勢い良く吹き出した