黒と白の螺旋が交わる時
二対六翼の竜が具現化された
カネルドウィンドラゴン
その瞳に宿るは金の光
フィン「おいおい・・・」
おとり役を務めていたフィンとエン
その周りにはネクロムのソウルドールが散らばる
フィン「出来過ぎ、だよなあ。まあ、行くか。皆まだ戦ってるかもしれないし」
エン「・・・・・」
フィン「どした?」
エンの視線は自分たちの進むべき方向へ向けられたまま固まっていた
その表情には険しさが漂う
フィン「ほら、さっさと行って―」
エン「来る・・・!」
大空を仰ぎ天に向かって叫ぶ
響き渡る咆哮に巻き起こる突風
・・・戦いを告げる風
グリードー「ちきしょーがぁ!だが以前のようにはいかないぜ!皆一箇所に集まれ!」
グリードーの号令に従い、急ぎ一箇所に集まる
グリードー「あの風に巻き込まれちまったら正気を失っちまう。全員のシフトエレメントで切り抜けるぞ!」
ウォルフィー&リーオン「おおう!」
ガリオン「シフトエレメント!」
シフトエレメントの掛け声が響き渡る
属性に応じた火、土、水、風の障壁が形作られた
フィン「来るってなにがだよ?」
エン「あの状態で・・・!戦いの風・・・・・」
フィンの声は届かない
ただ一点を見つめ、その表情は険しさと悲しさの入り混じった表情を浮かべたまま動かない
フィン「エン!・・・はっ!?」
突如吹き荒れる突風に反応し、エンにしがみ付く
一体何が起こっているのか答えを求め、エンに視線を向ける
フィンの目に映ったのは、そのエンの緑色の瞳が
金色の瞳へ変わっていくところだった
ガリオン「まさか一瞬で!?・・・エレメンタルチェンジ!」
シフトエレメントの障壁が一瞬にして吹き飛ばされ
反応が遅れる中それに唯一反応したガリオンが
大きく翼を広げ風から身を守るように覆う
ガリオン「ぐぁあああっ!?」
マック「ガリオンっ!」
意思が奪われそうになるのを必死にこらえガリオンが叫ぶ
ガリオン「よいか、よく聞けっ!誰でもいい・・・誰かが残って止めなければまた螺旋へ逆戻りだ!!
誰でも良い、最後まで・・・ぅぅぅ・・・!!」
グリードー「以前の風とはケタ違いだ・・・くそっ!お前ぇら!今回は乗っ取られんじゃねぇぞ!」
ウォルフィー「おう!なんか今すげぇ調子いいからグルルルル・・・!って感じで乗り切って・・・」
グリードー「おい・・・・・」
リーオン「そうそう!ガルルルル・・・!ってノリで今回は大丈夫!!」
ディーノ「ウォルフィー?リーオン?」
グリードー「って全然耐えてないじゃねぇか!!直接風に当たってるわけじゃねぇのに少しは耐えやがれ!」
ウォルフィー「ああくそっ!なんかすげえ体が熱い・・・!」
リーオン「押さえが効かねぇよ!あ〜う〜・・・!」
グリードー「こんなんじゃ最後までもたねぇ・・・!」
ズオウ「メグ・・・」
メグ「なんとかしなきゃ・・・何か私にできる事・・・あっ!」
メグはタリスポッドを取り出し高く掲げる
メグ「カムバーック!」
ディーノ「そうか!」
グリードー「それだっ!この風が止むまで・・・」
マック「カムバーック!」
ディーノ「カムバック!」
ガリオン「ま・・・まて・・・!」
ガリオンの静止は届かずにそれぞれタリスポッドとタリスダムに納まる
ガリオン『今我々が戻っては誰がサーガを突風から護るのだ!?』
GWニコル『あ』
以前よりも強い風に耐えれるはずもなく
あっという間にサーガ達は飛ばされてしまう
グリードー『ディーノ!エレメンタルレギオンだ!レギオンの力ならば・・・!」
ディーノ「う、うん!リボーン!」
グリードー「初っ端から飛ばして行くぜ!」
GWニコル「シフトエレメント!!」
エレメンタルレギオンにより強化された障壁が風を遮断し
その障壁が飛ばされていたサーガ達をやさしく受け止める
グリードー「くっそ!本当につえぇ風だ・・・耐え切れるか!?」
ディーノ「はぁ・・・はぁ・・・・・」
グリードー「ディーノ!?」
ディーノ「僕は・・・僕は大丈夫だよ!グリードー・・・」
グリードー「!?」
グリードーの記憶の中
かつて失った自分のサーガ、サルバの姿がディーノに重なる
グリードー「おいお前ら!!」
ウォルフィー「何だこんな時に!?」
リーオン「集中させろよ〜!」
グリードー「ディーノがやばい!お前ら灰になるつもりでもっと踏ん張りやがれ!ここに骨を埋めるつもりでな!!」
ウォルフィー&リーオン「へ??」
ピシッ
シフトエレメントの障壁に亀裂が生じる
ウォルフィー「うっわ、こっちだって必死だってのに、こんな時にそれを言うか!?」
リーオン「息もバラバラ、最悪のコンビだぜ・・・!!」
グリードー「うるせぇテンパってんだ!察しろ!!」
ディーノは辛そうにしながらも、自力で立ち上がり
いかにも余裕だと言わんばかりに小さく片手を挙げた
ディーノ「大丈夫だよ・・・大丈夫」
マック「僕も手伝うんだな!」
メグ「私にもやらせて!」
3人がタリスダムを持ち集中すると
ひびの入ったシフトエレメントの障壁は修復されていった
ガリオン『サーガの力が安定する・・・?いけるぞ・・・・・!』
風が止む
ダークウイズカンパニーから増援として駆け付けたレジェンズをはじめ
金色の目となったレジェンズ達が続々とジャバウォックの元へと集結していく
グリードー「なんとか耐えきったな。あいつらを止めるぞ・・・そのためにはまずあいつを正気にもどさねぇと」
三対六翼、カネルドウィンドラゴンのその視線はまだ実体化しきれていないジャバウォックへと向けられ、
その片手は天へ向けられると同時に光が収束され始める
ガリオン『止めるぞ!扉が開いてしまう!』
マック「リボーン!」
メグ「リボーン!」
ウォルフィー「今度こそ止めるぜ!」
リーオン「おおう!」
ガリオン「小細工は通用しない。一気にかかれ!」
ズオウ「うん!」
カネルド「邪魔をするな、使命を果たせ」
意に介さず、といった感じで片側の翼をはばたかせ払いのける
グリードー「こっちだぜ」
その隙を見計らってグリードーの拳が放たれる
それは、想像していた結果とは別の結果がもたらされることとなった
グリードー「・・・・・は?」
カネルドウィンドラゴンは大きくぶっ飛び、体勢を立て直すことなく壁に激突した
驚愕の表情を浮かべたままのグリードーに、カネルドウィンドラゴンはこう話しかけた
カネルド「何故だかは分らんが、力が不足している。このままではレジェンズキングダム、
戦いの場所への道が開かれなくなってしまう。お前らはここで自然を巻き込んだ戦いを望むというのか?」
グリードー「そ・・・それは、そこから間違ってるってんだ!・・・はっ!?」
一瞬の隙をついて、カネルドウィンドラゴンが再び道を開こうとする
再度詠唱されたその時間は短く、まばゆい光が辺りへともれていく・・・
ガリオン「ぐぅ、手遅れか!?」
「ぶはぁ!死ぬかと思ったじゃない!このアホ鳥!」
「ひどいです、あの風だけは無理なんですよ〜・・・ああっ!これは・・・」
戦いを告げる風を間一髪水中でやりすごしたハルカとロックバードはその光を見送る形となってしまった
ロックバード「多分手遅れです・・・」
ハルカ「なんてこと・・・・・また、役に立てなかった・・・」
ロックバード「らしくないですよ、何か無いか、最後まで足掻くのが我々の仕事です」
ハルカ「でも、前みたいに、本の記述ではジャバウォックのタリスポッドが残っていたから
対策法があったわけで・・・それは今どこに?」
ロックバード「無いなら・・・覚醒には不十分な気がしますが・・・」
「う・・・ん・・・・?」
サーガ達三人が目覚めると、すぐ傍にいる彼らのレジェンズ達が安心感をもたらした
グリードーがカネルドウィンドラゴンに向かって何かを言っているのが見て取れた
グリードー「くそっ!冗談でも何でもないのかよ!?」
カネルドウィンドラゴンは、力を使い果たしたのか、目を開けた開けたまま焦点が合わず、壁に寄り掛かっていた
ガリオン「戦いを指揮するものがこの状態か・・・戦いの風を受けたレジェンズ達も、
正気に戻す術は我々にはわからぬ。救いなのは、まだジャバウォックが覚醒せずに実体化していないことか・・・
だが、いずれは始まってしまうだろう」
メグ「ズオウ」
ズオウ「うん」
カネルドウィンドラゴンに癒しの力を使うが、一向に回復する様子が見られなかった
マック「風が・・・足りないんだな」
風を纏う少年はジャバウォックに取り込まれ
風の竜も抜け殻状態
残っているのは・・・・・
その時、風が吹き抜きぬけた
皆一斉にその方向へ視線を向ける
ガリオン「あやつら、無事であったか!」
マック「フィンとエンなんだな!」
その声にフィンだけが軽く手を振って返した
フィン「嫌な空気だな。ぶっ飛ばそうぜ!皆に自分を思い出させようぜ!」
エンの咆哮が響き渡り、それが風となる
辺りに広がる風はレジェンズすべてを巻き込み、金色の瞳が徐々に元に戻っていく
自身を思い出させる
『風・・・あいつがいない世界でも、まだこんな風が吹くんだな』
自身を思い出させる風・・・それは彼ら、シロンとランシーンにも届き
過去を思い出させるのだった
「わりぃ、やっぱり俺、この螺旋っての気にくわねぇ」
「気持ちはわかるが、それでは更なる混乱しか呼び込まないと思うのだが」
大分前に見た夢の続き
今回ははっきりと見える
目の前にいるのはサーガとカネルドウィンドラゴン
「渦巻く風と吹き抜ける風、二つの風がぶつかりし後、真の風が生まれる。
混ざり合わなかった風は一体どうなってしまうのか・・・」
「じゃあ賭けをしようか?」
「ん?」
「俺の吹き抜ける風とお前の渦巻く風、どっちが結果的に世界を救うのか、俺は多分見れないけどな
」
「・・・・・勝手にしろ」
サーガは歩み寄り話しかける
「おし、世界を変える俺様自慢の風から生まれたお前の名前は・・・うーん、そうだなあ」
頭の飛行帽をかぶり直して続ける
「お前の名前はシロンだ、うん、シロン、しっくりきた」
「くだらん」
「お前もしっかりつけてやれよ、その黒いのに名前」
「・・・・・ランシーン」
「・・・・・乱心?」
「嵐神だ」
「成程。んじゃ、後は任せたぜ!」
風・・・何所かで感じた風・・・・・
「風・・・・・」
今度は目を覚ましたカネルドウィンドラゴンに視線が集まる
カネルド「そうか・・・あのサーガは以前の・・・
そして新たなウィンドラゴンが生まれるときそれは・・・だったら」
カネルドウィンドラゴンは立ち上がるとゆっくり前へと出る
カネルド「今の風のサーガと、我々は失敗し、用済みというわけか?」
辺りに居る面々に驚愕の表情が浮かぶ
用済み、その言葉を否定したいその気持ちを打ち砕くかのように
エンは・・・弓を構えた
フィン「いいんだな・・・・・?」
その構えられた弓の矢は、風の力が収束し、クリスタル化している
その力により巻き込まれた大気の中に漂う礫を触れるだけで一瞬で塵に変えてしまう
それほどの力を込めた矢が、今放たれようとしている
それを止めに入ったところでどうにもならない
レジェンズ達には止めようとした自分の末路が見えるかのようだった
できることなら外れてくれ
しかし、その矢は真っ直ぐに、カネルドウィンドラゴンの胸を貫いたのだった