心地よい風が吹いている
まるで俺を包み込むかのように
いつからこの風に吹かれていたのだろうか・・・
俺は誰だ?いつからここにいる?
俺を包み込む風がそのまま自分になっていくのがわかる
俺は・・・・・風?
とても居心地が良い
「おっ、中々様になってるんじゃねえの?」
感じる
声の主が自分に風を吹かせている
一体誰だ、何所にいる?
徐々に自分になっていく自身を確かめながら
ゆっくり目を開ける
「子は親に似るって言うけどどうよ?」
「さあな」
目の前に居るのは誰だ?
風が自分の一部になるたびに何かが流れ込んでくる
色々な知識が・・・・・心が・・・・
その知識が状況を伝える
一人は人間・・・もう一人は大きい・・・そして自分と少し似たような姿をしている
彼らは何か会話を交わしているようだが
よく聞き取ることができない
一通り会話をし終えると、自分の方に歩み寄ってくる
「いいか?お前の名前はシロンだ!」
シロン、それが俺の名前?
ゆっくりと頷く
「後は任せたぜ・・・?じゃあな・・・!」
なんだ?もう行っちまうのか?
「っとそうだ」
もっとお前の風を感じさせてくれよ
「これお前にやるよ」
手渡されたのはそいつがかぶっていた飛行帽
「あー・・・耳の部分は自分で何とかしてくれ。もう時間が無いんでな・・・」
いくらなんでも急すぎるぜ?待てよ・・・待てったら
シロン「待て・・・よ・・・!」
ようやく声が出せた
シロン「また・・・会えるのか・・・?」
「・・・・さあ・・・な?」
風に少し悲しみが混じる
「ただ言えることはこの風を忘れるなってところだ
俺じゃないにしてもその風を吹かせるそいつはきっと
お前と歩む風になると思うから・・・忘れんなよ?」
わけわかんねえよ・・・待てよ・・・待てって・・・・!
「ガガーーーーー!・・・・・・ンガッ?」
飛び起きたそこは古びたビルの一画
帽子をかぶったその一匹のぷにっとした白いネズミらしき生き物は
あたりを見回し自分の状況を確かめる
シロン「ガガ・・・ガ・・・・」(夢・・・か・・・・)
まだ薄暗いあたりを見渡し風を感じる・・・
夢だったとしてもいい風だったな・・・と溜息をする
少し違うけど、あいつと少し似た風
帽子・・・これってもらい物だったのか?
俺って昔あんな事あったっけ?
よく覚えてないんだがなあ・・・
頭の小さな帽子に触れてまだはっきりしない思考を巡らせる
シロン「・・・・・・ガー・・・ガガンガ」(・・・・・あーわかんね)
まあいいかと二度寝に入る
もう少ししたらあいつが来るだろう
そこで多分起こされるから・・・・
そう考えながら夢の続きを探すように眠った
「うおおおおおおい!ねずっちょ!いくぞおおお!」
眠りに入りきらないその時に自分を呼ぶ声が聞こえた
あいつだ
やかましい奴だが今はこいつと一緒にいる
こいつとその友達と・・・
いつの日からだったか俺はこのビルの近くに巣を作って暮らしていたんだが
こいつらに見つかってからは一緒に行動するようになった
毎日がドキドキハラハラもので、自分も色々巻き込まれたりするんだが
まあそういうのも悪くねえが・・・な
どう考えてもトラブルメーカーというのに相応しい
何かと面倒みてやらんと駄目そうだ・・・
毎日気になって気になって仕方がねえ
って俺のほうが飼われてるはずなんだけどな〜
俺はあいつの肩に乗り、
正直今日も何が起きるのかを楽しみにしながらついて行く・・・
よくわからねえが、そうしたいと思ったんだ
08.06.04