逃げ場の無い絶対破滅へ向かう戦い

自身はその運命に気が迷い

心は闇に染まり

自身と共に戦ったものは

苦楽を共にした経験、思い出に倒れる

そして今、目の前で戦う者もまた

出口の無き戦いの道の上に立った

置いて来たはずなのに


希望というものはどこかに置いてきたはずなのに



「エレメンタルチェンジ!クロスブロウザン!!」
「ふむ」


ヘキサドラゴンのパレットは
緑の光に包まれると共に技を放つ

放たれる技の数々は
アリサがパレットに話したレジェンズの技そのものだった

それはまるで自身が残した日記帳のようで
数々の思い出が甦る

しかし、その思い出全てをぶつける攻撃も
闇の化身ジャバウォックの分体であるティアマットには
決定打になる攻撃は無かった

「ま・・・だだ!」
「四属性を操るか。だが私相手にはそれは意味を成さない」

火、水、風、土
この属性全ては闇に対して有効な技を持たない
どれほど工夫しようがその全てが無駄になる

「つまり、風によるカウンターにさえ気をつければ問題ない
つまりは・・・結局つまらぬ力押し、ということになるな」

ティアマットはそう言うとただパレットに打撃を加え続ける
それでもまだと水の力を引き出し、自身を治癒し続けながら戦うパレット
それはただ、相手に与えられる苦痛に耐えるだけの行動になっていった

「やめて・・・もう、やめて・・・」

耐えられなかった
まるで思い出を潰されていくようで


レジェンズウォーの勝利
それは全てが消え新たなる世界の始まり

レジェンズウォーの敗北
それは全てが闇に染まる永遠の荒廃への道


その現実を今、目の前で見せ付けられているような気がした
どの道を選ぼうと、その想いが残ることは無いのだ


「弱い・・・しかしまだ興味がある。お前は何者だ?」

偶然にもティアマットに芽生えた疑問がその行動を止めていた
その中に秘められた何かを感じて

「俺は・・・アリサに生み出された。そう、聞いた・・・」
「聞いた・・・・・?」

パレットを生み出した当の本人である
アリサもその言葉に疑問を抱いた

自分以外に誰が絵であったパレットに話しかけたというのだろう?
それ以前にこの目の前の存在はどうやってこの世に―


「俺はただアリサを助けられるのは今お前しか居ないと
どこからか声が聞こえて、それで俺は戦う事を選んだんだ!」

自身の治癒を終え、再び飛び掛る

「ふ・・・結局この世界が見捨てられないというのか、神よ
だが我々を生み出した以上、いつかは壊れるというものだ
もう・・・この程度では無駄なのだよ!」

「か・・・み・・・?」

アリサの想像を超える話に頭が混乱する
絵という存在が命を持ち
そして今、ティアマットからも神という単語が呟かれた
全てが神の意思だとでも言うのか
だとしたら何で・・・

「こんな世界・・・何の意味があるって言うのよ・・・!」

再び黒みを増すアリサの心
それは再びティアマットに力をもたらす事となり
更に自暴自棄になる

ティアマットの攻撃が再びパレットを襲うしかし・・・

「何が・・・起きた」

攻撃を先に受けたのはティアマットだった
そしてその一撃は明らかにダメージを与えていた
その攻撃を繰り出したパレットの体は
いつも間にやら鎧に包まれ体も一回り大きくなっていた

「コマンド化したとでもいうのか?だがその程度では!」

多少能力が上がったとはいえ、相性から差は歴然のはずだった
しかし徐々にそれに気がついていく
パレットの体から滲み出てくるのは負の力

「なるほど・・・ネクロムにエレメンタルチェンジか
それでこそ神に干渉された者の力よ!」
「うぉおおおっ!!」

先程とは打って変わって戦いを楽しむような表情で戦うパレット
それはレジェンズという
戦うために生まれた存在としての証であるかのようで・・・

「やめてよっ!やめて・・・」

それを否定するアリサ
もう、否定することしかできない

戦うためにではなく
ただレジェンズにはそこに存在するものであって欲しい
その願いから筆を取ったのだった
それがまた戦いに染まっていくのが嫌だった

もう何もかもが嫌な存在になっていく
だからせめて、パレット、貴方だけは・・・

「あ・・・リサ・・・」
「あ・・・ああっ・・・・・」

その心を受け取ったのか、もともとの属性である風に戻ったパレット
しかし、その瞬間目に映るのはティアマットの攻撃に貫かれた姿であった

「手こずってしまったな。何故属性を戻してしまったのかは知らんが
これで終わりだ・・・むっ!?」
「ストライク・トルネード!」

竜巻がティアマットを吹き飛ばす

「カネルド・・・!」
「邪魔だ!この死に損ないがぁ!」

ティアマットの攻撃に再びさらされるカネルドウィンドラゴン
その攻撃はやはり的確で回避を許さない

「避けられないなら・・・こうするまでだ・・・!」

全ての力を風の防壁に回し、攻撃を受け続ける

「カネルド・・・もうやめて!死ん・・じゃう」
「アリサ、俺はお前の心はわかっていたが、
それを受け入れようとはしなかった。その結果がこれだ。
そこに居るやつ、パレットと言ったか?お前は戦いの最中でも
しっかりとアリサを見ていたな?ふふ・・・負けた気分だよ
アリサを頼む。これで借りは返し・・・」

言葉を言い終える前に防壁は破られ、闇の閃光に消し飛ばされる
その攻撃はソウルドールを残すことなく蒸散させてしまった

声にならない叫びを上げるアリサ
闇が迫ってくる
ティアマットが・・・来る
その絶望感に、また時間の流れがゆっくりに感じられる

「アリサ・・・暗いよ、真っ暗だよ・・・」

パレットの言葉に気がつき抱きしめる

「そこに、いるんだね?ねぇ・・・今度はどこへ連れて行ってくれる?」

この状況下の中でそんなことを言うパレットに
更に抱きしめる力を強める

「どこに・・・しましょうかね?」
「アリサ・・・次は暖かい所がいい・・・心の底から・・・
アリサの傍がいい・・・ねえ、暗いのってなんか寒いんだよ?
極寒の地よりもずっと・・・」

アリサはその言葉に目を見開く
そしてどこかに忘れていた偽りの笑顔を向ける

「じゃあ、今から行きましょうか?」
「・・・・・え?」

アリサは懐にいつも大事にしまっていた
誰にもそれを悟られずにいた画材を取り出す

そして、パレットという絵に最期の仕上げ

瞳を、描き込んでいく

「さあ、着いたわよ。分かる?目をゆっくり開けてごらん?」

そう言うと描いた目元に手を当てる
当てられたパレットは目元に感覚があることに気がつく
アリサの手が目が描かれた部分からゆっくりと離れていくと
そこにはしっかりと実体を持った目があった

ゆっくりと目を開ける
光が差し込んでくる
沁みるような感覚
これが、光
暖かくて刺激的で・・・

「アリサ・・・?」
「そうよ?見える?」
「凄い顔してる」
「意外と毒舌ね・・・」

瞬間パレットは光に包まれる
その姿を更なる大きな存在へと変えていく
その体を包む力はスピリチュアル、光の属性
全ての属性の力を得たパレットは

真の姿、カネルドヘキサドラゴンへとその姿を変える


「この忌々しき力の波動は!?そういうことか神よ!
おのれぇえええええ!」

繰り出された攻撃を軽々と受け止めるパレット
返す攻撃はティアマットに明らかに深くダメージを残した

「ふ・・・いいのか?私を倒せばアリサもただでは済まない」

パレットが視線を移すと、アリサは苦しそうに咳き込んでいた

「アリサ・・・俺は・・・」
「だい・・・じょうぶだから・・・きっと、大丈夫だから」
「・・・わかった」

放たれる閃光
スピリチュアルの力がティアマットを引き裂き
その肉体は塵となって消えていった


「アリサ・・・アリサ・・・・!!」
「やっぱり、駄目みたいね。体に力が入らない」
「そんな・・・ようやく会えたのに!」
「私が闇に堕ちなくても勝っていても結局は別れる事になっていたわ
仕方ないの、ふふっ・・・貴方のそんな顔が見たくないから、私は・・・」
「アリサーっ!!」


アリサの体は消滅し、そこにはパレットの咆哮だけが響いた








「ほら、行くぞパレット!」
「待ってよ〜!」

長い時が流れた どの属性にも属さないパレットは
再び甦るその時に合わせる様に生まれた
無のサーガと共に戦いの時を刻むこととなっていた

「早くしないと間に合わないからな
なんとかティアマットの野望を止めなきゃ!」
「うん、そうだね!」


そして、ティアマットの元へたどり着く

「来たわね・・・無のサーガ、そしてパレット」
「ティアマット!闇のサーガ!好きなようにはさせないっ!」

アリサと無のサーガが言葉をぶつけ合う、そして

「アリサ・・・久しぶり・・・」
「思い出したのかしら?久しぶりね・・・」
「お前ら知り合いだったのか!?」

「うん、でもだからって止まれない」
「そう、止まる必要なんて無いの」

ジャバウォックは何度も蘇る
その分体、ティアマットも何度も
だから・・・

「こっちが負けない限り、またいつか会えるんだから!」
「世話を、かけるわね・・・」

アリサの顔には自嘲気味な微笑みがあった

その表情に心を刺されながらも
パレットは全力で戦うのだった


この戦いの螺旋が終わりを迎えるのは
まだまだ先のことである

この魂を救うものが現れるまで


―終―


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