(なんだろうこの感じ・・・)

凄く不安な気持ちになる
ヘキサドラゴンのパレットはいつものように
絵の中でアリサの帰りを待っていた

だがいつもと明らかに違う何かを感じる
でかけるアリサの言葉はとても嬉しそうな感じだったのに
それはもう、今までに無い位

だからこそ今はその不安が増大する
もしかしたらアリサはもう帰ってこな・・・

(そんなことを考えるな!大丈夫だよきっと!)

でもやっぱり心配だ
行ったことがない場所へ行くといっていた
大丈夫かな?

その場所のことを教えてあげるといって出て行ったアリサ
だから、きっと帰ってきてくれるよね!






覚悟はできていたのに



開戦するレジェンズウォー
どうなってしまうのかも分かっていた

それでもやはり実際この場に立ってみると
どうしても体は震えるばかりで
頭では何を考えればいいのか分からない

目の前では命のやり取りが行われている

・・・その中には今まで行動を共にしていた
カネルドウィンドラゴンもいる
自分も何とか・・・風のサーガなんだから!

「無理をするな。もう、我々だけでも十分だ」

カネルドウィンドラゴンはアリサにそう一言告げる

実際、何度も下準備として
訓練を繰り返していた彼らの動きは素晴しいものがあった
あっという間にジャバウォックを追い詰めていく


「このまま終わってしまえば・・・終わってしまうの?」

世界を守るためとはいえ、自らの手で
結果的には自らを、人類を滅ぼす

どうしても割り切れない想いから涙を流す

今まで生きてきた人達の、自分の周りにいた家族、
友達、そのまた友達の・・・そしてこれから生まれてくるはずだった者達

全てを、自らの手で・・・


―それほどまでに嫌ならば、別にその道を選ばずとも良いであろう―


それは闇からの呼び声
アリサの壊れかけた心の裂け目をこじ開け、入り込んでくる

「だ・・・れ・・?」

―私の名前はティアマット。我を求めよ。世界の崩壊を止めるものなり―

「止めて・・・くれるの?」

―我を求めよ。我と契約を・・・―


「・・・アリサ?」


気がつくのが遅すぎた
カネルドウィンドラゴンは戦いに集中するあまり
どうしてもアリサに気を配る余裕が無かったのだ
その名を呼んだときには既に全てを理解した

目の前にいるのはもう風のサーガではない

ジャバウォックの分体であるティアマットと契約を結び
闇のサーガとしてその存在を変えた


「ティアマットか・・・!アリサ、何故・・・いや、それは問うべきではないな」

「ごめん・・な・・さい・・ごめんな・・・さい・・・」

謝る言葉を発するアリサの表情、眼からは感情が消えているようだった

「フフフ・・・好きなようにはさせぬ。いや、
もはや形勢逆転と言ったほうがいいのではないか?」


サーガとしての力はかなりのものがあったアリサ
カネルドウィンドラゴンはサーガの力を失い、
ティアマットは力を得、その本体であるジャバウォックもまた
力を取り戻していく

「それもまた仕方の無いこと。だが私は必ずこの戦いを勝利に導く!」


カネルドウィンドラゴンはティアマットの攻撃を避け、
確実に隙をつき、攻撃をぶち込んでいく


「サーガと共に心を通わせる時間が長すぎたようだな」
「何っ!?」
「攻撃を加減していては私を倒すことなどできないぞ?まあ確かに私が倒されれば
このアリサの身もただでは済まないかもしれないからな」
「黙れ!っ」

ティアマットに向けられたその叫びで自らをも制し攻撃の力を増す
しかし、時折アリサの顔が苦痛に歪む姿がみえてしまいどうしても手加減してしまう

「難儀なものだなぁお前らは!はははははっ!」
「くそ、くそっ!」

確実にダメージを与え続けなければ消耗戦になる
サーガがいなくなってしまったカネルドウィンドラゴンは
力の供給を受けることができず、
不利になっていくのは当然のことだった

「さて、アリサよ。あの世界を壊そうとしているあやつらを倒すために
少し協力してもらおうか?」

「アリサ・・・?ぐぅっ!!」

攻撃がカネルドウィンドラゴンに直撃する
それでもなんとか体勢を立て直し、できる限りのスピードで
翻弄するように距離を離そうと飛び回る

しかし

「ぐうぅっ!がはぁ!なっ・・・!ぜ・・・!?」

全ての攻撃が、直撃する

「なぜ、か。お前はどれほどの間
アリサと共に訓練していたのだろうなあ?くくく・・・」

アリサにはその姿を見なくても動きが把握できるほどに
カネルドウィンドラゴンと共に訓練を詰んでいた
その経験が今、全ての攻撃をカネルドウィンドラゴンに
当て続けるという悲劇を生み出していた

「か・・・はぁ・・・」

白い羽を散らし、墜ちていく
その姿を瞳に映したアリサに感情が帰ってくる
時間の流れが緩やかになっていく


「わ・・私は・・・いやあああああ!!!」
「何を嘆くことがある?これでこの世界は
このまま残り続けることとなるのだぞ?」


わからない

わからない!


「ふっ・・・どうして、詰んできた訓練も
中々完成されたものだったようだ、な・・・」

地に伏していたカネルドウィンドラゴンは
残りの力を振り絞り、顔をあげ、アリサに話しかける

「戯言などいらぬ。消えてもらおう!」
「やめて・・・やめて・・・」

黒い閃光がカネルドウィンドラゴンへ向かって放たれる

「やめてぇ〜!!」
「ライトニングトルネード!!」

「風の・・・力!?」

黒い閃光を電気を帯びた風が方向を変え、すれすれの所で
カネルドウィンドラゴンから逸れていく


「ヘキサドラゴン・・・パレットなの?」
「アリサ!?そこにいるんだね?アリサ!アリサ!!」


この場所に存在するはずが無い
ヘキサドラゴンは私が描いたただの絵のはず
どうやってここまで・・・どうして存在しているのか

目が見えないパレットは、精一杯耳を声に傾け
アリサの位置を確認する


「何やってるんだお前ら!アリサを泣かせるなら許さないぞ!」
「面白い・・・ウィンドラゴンと似た力を感じるな。
あまり強そうではないが楽しませてもらおう」

パレットは相手をティアマットに定める

「アリサを放せぇ!」

そして飛び掛っていった



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